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第57回「有機磁石は可能か?」の巻

10年前に発見された世界初の有機磁石

有機化合物でも、上記の3条件をもたせられれば磁石となると考えられます。ところが、有機化合物においては構成原子の電子が2個ずつ対になって安定な共有結合をつくっているので、とても磁性材料となりそうにもありません。ただ、化学反応の過程においては、この共有結合が壊れてラジカル(フリーラジカル、遊離基)と呼ばれる反応中間体が生成されます。ラジカルは孤立した不対電子をもつため磁性を示します。

反応中間体としてのラジカルは不安定で短時間の寿命しかもちませんが、安定した有機ラジカル分子を利用すれば、有機磁石が実現できそうです。ラジカルの不対電子のスピンの向きがバラバラだと常磁性という弱い磁性しか示しません。しかし、分子間でうまくスピンをそろえられれば、強磁性的な性質をもたすことができると考えられるからです。

初の有機磁石は1991年、東京大学物性研究所の木下實教授(現・山口東京理科大学教授)によって発見されたp-NPNN(p-ニトロフェニルニトロニルニトロキシド)という有機化合物です(図2)。この有機化合物の結晶は0.6Kという極低温で、強磁性的な秩序状態に相転移して、磁石に吸着するようになります。不対電子を統一する交換相互作用は、有機ラジカル分子間ではきわめて小さく、熱振動によってスピンの向きはバラバラとなっています。しかし、温度を下げると不対電子間の交換相互作用が起き強磁性体となるのです。

現在、実用的な有機磁石の開発に向けて、さまざまなアプローチから精力的に研究が続けられています。もし常温でも強磁性を示す有機磁石が発見されれば医療にも利用できるようになるといわれます。薬と結合した有機磁石を体内に投与すれば、外部磁界によって患部に効率的に運ぶことが可能になるからです。

生命機能も広い意味での化学反応であり、そこには電子の振る舞いが深く関与しています。21世紀は、有機磁石をはじめとする機能性高分子の発達が、エレクトロニクスとバイオテクノロジーとをドッキングさせる主役となるかもしれません。

外部磁界によって患部に効率的に運ぶことが可能

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