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第172回 コンパクトで高画質なレンズ交換式デジタルカメラ! 〜ミラーレス一眼について知る〜

デジタルカメラも元々はアナログ?
 さて、デジタルスチルカメラ(以下、デジタルカメラ)、いわゆる「デジカメ」のルーツは、1975年にイーストマン・コダック社で試作されたものとされています。CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)イメージセンサを使って光学情報を電気信号に変換し、カセットテープに記録するという構造のものでした。続いて1981年にはソニーが電子スチルビデオカメラ「マビカ」試作機を発表、同時に公開された規格に沿って、1986年にはキヤノンが「RC-701」を市販します。ただし、これらは記録媒体にフロッピーディスクを使うものの、記録はアナログ方式だったので、「デジカメ」とは呼びにくい感もあります。また、たいへん高価だったため、実質的に報道用などプロユーズ専用だった印象があります。

 記録までデジタル方式で行う「デジカメ」の元祖は、1988年に富士フイルムが発表した「FUJIX DS-1P」ですが、これは残念ながら市販には至りませんでした。また、1991年にはイーストマン・コダック社が、ニコンの一眼レフフィルムカメラをベースにCCDを組み込んだ、世界初のレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ「プロフェッショナル・デジタルスチルカメラシステム DCS」を市販しましたが、これも実質的に報道などのプロ専用製品でした。

 デジタルカメラを広く一般ユーザーへ普及させるきっかけになったのは、1995年にカシオ計算機から市販された「QV-10」です。そしてこのQV-10が採用した「液晶モニタによるライブビュー」機構が、今日のコンパクトデジタルカメラの原型となったのです。

 QV-10は、開発工程で小型のテレビをファインダー代わりとしたところ、これが好評だったことから、撮影済み画像チェック用の液晶モニタをファインダー兼用とする構造に至ったと伝えられています。デジタルカメラのイメージセンサからは、常に撮像用の信号が送出されているので、それを液晶モニタなどに表示すれば、わざわざ光学ファインダーを使わなくても、撮影しようとしている像そのものが確認できます。光学ファインダーが不要ということは、すなわちレフレックスミラーも不要ですから、QV-10はミラーレス構造を実現していたわけです。さらに、レンズ部とモニタ部の角度を変えられる「スイベル構造」のボディを採用するなど、新しい写真の撮り方を提案したことが、デジタルカメラの普及を大きく促進することとなりました。

 ただし、当時はまだ液晶パネルの価格が高価で、QV-10のモニタも1.8型というサイズに留まっていたのが難点ではありました。その弱点を補うため、QV-10以降に登場したコンパクトデジタルカメラでは、独立式ファインダーを備えるものも少なくなかったのですが、液晶パネルの価格下落にともなってモニタの大型化が進んだことで、液晶のみとするものが主流となってきたわけです。

一層進むデジタル化の波
一眼レフカメラとミラーレス一眼の構造の違い

 2000年代に入ると一眼レフの分野でもデジタル化が進められてきましたが、ユーザー層の指向から「光学ファインダーを覗きながらシャッターを切る」という昔ながらのスタイルが定着しているせいなのか、レフレックスミラーによる光学ファインダーを備えるものが主流を占めてきました。そこに一石を投じたのが、2008年に発表された「マイクロフォーサーズ」という、一眼レフ用レンズおよびレンズマウントの規格です。

 マイクロフォーサーズ規格は、先行して2002年に発表されていた「フォーサーズシステム」規格の拡張版にあたるものです。フォーサーズシステムは、カメラ本体やレンズの構造を、フィルムとは異なる特性を持つイメージセンサに最適化することを目的に提唱された規格です。そして、マイクロフォーサーズは、より一層の小型コンパクト化のための拡張規格と考えていいでしょう。

 マイクロフォーサーズでは、フランジバック距離(レンズマウント面からイメージセンサまでの距離)を大幅に縮小したため、実質的にミラーレス構造が前提となっています。いわば、コンパクトデジタルカメラの構造をベースとしながら、より大きなサイズのイメージセンサを搭載でき、かつレンズ交換を可能とするような構成が特徴です。この構造の利点をフルに活かす設計によって生み出されたのが、マイクロフォーサーズ規格による初の製品となったパナソニックの「LUMIX DMC-G1」であり、オリンパスの「PEN E-P1」なのです。
 ただし、ソニーのα NEXシリーズはマイクロフォーサーズ規格ではなく、デジタルビデオカメラと共通性を持つ「Eマウント」を採用し、イメージセンサもフォーサーズシステムが提唱する4/3型ではなく、APS-Cサイズを採用しています。また、ペンタックスの「Q」は、フォーサーズシステム提唱のものより小さい1/2.3型を採用し、コンパクトデジタルカメラと同等サイズのボディでレンズ交換を可能とするなど、各社とも特徴のある製品を送り出している点も、ミラーレス一眼に注目が集まっている理由の一つです。

 ミラーレス一眼の魅力をまとめると、従来の一眼レフに対しては大幅にコンパクト化されたボディ、コンパクト型に対してはレンズ交換が可能なこと、大型イメージセンサを搭載していることがアピール点となります。これらの特徴から「入門用一眼レフ」と「レンズ一体式ハイエンド品」の間に割って入るようなポジションを占めており、従来はそのいずれかを購入していた顧客層を確実に獲得しているようです。今後はコンパクト、ミラーレス、高級一眼レフ、という棲み分けが進むことになると予想しますが、レンズ交換が可能であるがゆえに、ホコリなどの異物浸入といったトラブルが起こる可能性があることなど、製品の特徴点は理解しておいていただきたく思います。そして最大の難点は、続々と登場してくる魅力的な交換用レンズが欲しくなってしまうことかもしれません。


著者プロフィール:松田勇治(マツダユウジ)
1964年東京都出身。青山学院大学法学部卒業。在学中よりフリーランスライター/エディターとして活動。
卒業後、雑誌編集部勤務を経て独立。
現在はMotorFan illustrated誌、日経トレンディネットなどに執筆。
著書/共著書/編集協力書
「手にとるようにWindows用語がわかる本」「手にとるようにパソコン用語がわかる本 2004年版」(かんき出版)
「記録型DVD完全マスター2003」「買う!録る!楽しむ!HDD&DVDレコーダー」「PC自作の鉄則!2005」(日経BP社)
「図解雑学・量子コンピュータ」「最新!自動車エンジン技術がわかる本」(ナツメ社)など


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