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テクの雑学

第129回 小型化する携帯電話とともに進化するアンテナ

 私たちが日ごろ利用している携帯電話にとって、欠かせないのがアンテナです。昔の携帯電話には本体から飛び出したアンテナがついていて、通話の時には引き出して伸ばすようになっていましたが、最近の携帯電話には見当たりません。
 実は、最近の携帯電話用のアンテナは小型化して、本体に内蔵できるようになっているのです。今回のテクの雑学では、携帯電話のアンテナに注目してみましょう。

アンテナと電波ってどういう関係なの?
 ところで、そもそも電波の受発信とアンテナにはどのようなかかわりがあるのかを、最も単純な形のアンテナでおさらいしておきましょう。アンテナの原理にあるのは、「電流が時間的な変化をしている時、その周囲に右ネジの方向に電流の強さに応じた磁束密度が発生する」(アンペールの法則)と、「磁束密度が時間的な変化をしている時、その周囲に左ネジの方向に磁束密度に応じた強さの電界が発生する」(ファラデーの電磁誘導の法則)という2つの法則です。


 携帯電話が電波を送信する時には、信号に対応した電流をアンテナに流します。流すのは、周期的に流れる向きが変わる(プラスとマイナスの入れ替わりが発生する)「交流電流」です。電流の向きが変わる、すなわち電流が時間的な変化をすることにより、アンペールの法則に従って周囲に磁束密度が発生します。発生する磁束密度の大きさも周期的に変化しますので、ファラデーの電磁誘導の法則に従い、磁束密度に応じた強さの電界が発生します。発生した電界の周辺にはさらに磁束密度が発生する、という繰り返しにより、アンテナを起点とした「電磁波」が発生します。

 電磁波を受信する時には、逆にアンテナの周囲にある電磁波によって、アンテナに流れる電流が発生します。これが受信機に伝わり、電波が受信できます。すなわち、アンテナは、電磁波の送信にも受信にも重要な役割を果たすのです。

アンテナの基本の長さは周波数で決まる
 効率的に電磁波を送受信するために重要になるのが、アンテナの長さです。長ければ長いほど良いと思うかもしれませんが、効果的に電磁波を送受信できる長さは波長(λ)によって決まります。電磁波は光の速さと同じ、秒速30万キロメートルで進みます。したがって、秒速を入れ替わりの回数=(周波数)で割ると、入れ替わりの周期の間に電波が進む長さ、すなわち波長が算出でき、効果的なアンテナの長さはその電磁波の波長の1/2だということが分かっています。この長さの時、電磁波とアンテナは「共振」という状態になります。最も単純な構造の「ダイポールアンテナ」では、給電点から両側に2本の直線状の導線を伸ばし、長さの合計がλ/2になります。

 携帯電話で多く使われている800MHz(メガヘルツ)前後の電磁波の場合、1秒間に約800万回という高速な振動をします。30万kmを800万Hzで割ると、37.5センチとなります。したがって、効率のいいダイポールアンテナの長さはその半分の19センチ前後となります(異なる周波数帯を利用している機種では、それに応じた長さとなります)。

 なお、計算式からわかるように、波長は周波数が低くなるほど長くなるので、適切なアンテナの長さもそれに応じて長くなります。例えば、FMラジオ放送(周波数80MHz前後)の場合、波長は約375センチとなりますので、アンテナの長さも180〜190センチ程度が適切な長さとなります。

 また、アンテナの一方の端を接地(アース)することによって、ダイポールアンテナのさらに半分の長さ(すなわち波長の1/4)でも同じ効果を得られるようになります。これを、モノポールアンテナといいます。


 携帯電話で利用されている「ホイップアンテナ」はモノポールアンテナの一種であり、電話の筐体と直接触れている人が地面に対して電気を逃がすアースの役割を果たしています。

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