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デジタルコンテンツを正しく楽しもう −DRMの仕組みとこれから−

 この4月、世界4大レコード会社のひとつであるイギリスのEMIグループが、オンライン販売する自社の楽曲を「DRMフリー」化すると発表、大きな話題を呼びました。まずはアップルが運営するiTunes Store上で、「プレミアムダウンロード」枠として5月中の提供開始を予定しています。
 ほぼ同時期に、マイクロソフトが運営するオンライン音楽ストア「Zune Marketplace」が、続いて5月にはAmazon.comも同社サイト内でDRMフリーの楽曲販売を発表。今後のオンライン楽曲販売に大きな影響を与えることは必至と見られています。

DRM −コンテンツの利用・複製を制限する−
 DRMはDigital Rights Managementの略。デジタルコンテンツにおいてコンテンツホルダーが持つ著作権などの権利が不当に侵害されることを防ぐため、コンテンツの利用や複製を制限する仕組みの総称です。DRMフリーとは、DRMの仕組みを組み込まない状態を指します。

 音楽や映像ソースのデジタル化によって、コンテンツは高音質・高画質で楽しめるようになりました。しかし、デジタル化によって新たな問題も発生しました。なかでも大きな問題となったのが、違法コピーならびに配信による権利侵害行為です。

 念のために記しておくと、日本の著作権法では「私的複製行為」については権利侵害に当たらないと規定しています。たとえばレコードからカセットテープにダビングしてポータブルプレーヤーやカーオーディオで聞く、コンピュータソフトの場合は供給メディアの破損や劣化に備えてバックアップを取っておく、といった行為がこれに該当します。
 しかし、「私的複製」の「私的」とはどこまでの範囲を指すのか?家族に頼まれてダビングした場合は違法行為になるのか?学校や会社の友達から頼まれた場合は?といった点については、明確な線引きができているとは言いがたいのが実状です。ちなみに、政府は「私的複製の範囲を明確化するため、2008年度中に速やかに結論を出す」とアナウンスしているので、はたしてどのような線引きが行なわれるのか、注目しておきたいところです。

 問題は、デジタルデータ化した楽曲や映像は、いくらコピーしても音質や画質が劣化しない点にあります。CDやDVDなどのパッケージメディアから、音楽なら「CD-DA」、DVDビデオなら「MPEG-2プログラムストリーム」という記録フォーマットを保ったままデータを吸い出し、他の媒体へコピーすれば、原盤と同じクオリティーを保った複製物が無限に作れてしまいます。
 また、「Napster」や「Gnutella」など、ネットワーク経由のファイル共有/交換システムによって、複製物を不特定多数へ配布することが可能になったことも、コンテンツ権利者には大きな脅威となりました。
 そこで登場したのが、そもそも原盤から複製物を作れないようにしたり、なんらかの制限を設けるための仕組みです。このような仕組みの総称がDRM、というわけです。

DRMの手法
 実際に用いられるDRM用の手法は数多く存在します。制限の内容によって大別すると、


といったことになるでしょうか。
1)は、たとえばTVのデジタル放送が、DVD-Rにはコピーもムーブ(コピーすると、元のファイルが削除される)もできない仕組みや、音楽コンテンツを保存する記録メディア側の仕組みが該当します。
2)はCCCD(Copy-Controlled CD)やDVDビデオなどに用いられている、そもそも原盤から複製物を作ること自体を不可能にする仕組みです。
3)は、やはりデジタル放送に対応する保護技術があげられるでしょう。パソコンが内蔵するデジタル放送対応のTVキャプチャーボードで録画した番組は、録画したパソコン以外では再生ができない、といった仕組みです。
4)もデジタル放送で「コピーワンス」として用いられています。ハードディスクやDRM対応のDVD-RAMなどに録画することは可能ですが、そこから他の媒体へコピーすることはできず、ムーブのみ可能となります。また、音楽配信サービスなどに用いられている場合、ファイルを他の媒体にコピーできる回数に制限をかけ、またファイル自体にコピーされた回数(世代)の情報を埋めこむことで、たとえば「原盤からのコピーは3回まで可能で、コピーされたファイルからのコピーは不可」といった形での保護を行ないます。
5)は、コピーの可不可によらず、設定された期日を過ぎるとファイルが再生できなくなる、というものです。

 DRMの仕組みは単独ではなく、複数を組み合わせて用いられることもあります。また、「ハードウエア+ソフトウエアの組み合わせによって実現するもの」と、「コンテンツのファイル自体に含まれるソフトウエアで実現するもの」に分類することもできます。ちなみに現在の主流は、ソフトウエアによる保護です。

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