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テクの雑学

クリーン・ディーゼル・エンジン 
−その2 エンジンの中に『日本海溝』が!? コモンレール・システム−

 ディーゼル・エンジンの性能向上と排気ガス成分のクリーン化において、“革命”をもたらした機構が「コモンレール Common Rail」と呼ばれるシステムです。
 簡単に言えば、ガソリン・エンジンのEFI(Electronic Fuel Injection 電子制御式燃料噴射装置)に該当するものですが、ディーゼル・エンジンに同様の機構を組み合わせるには、さまざまな技術的困難がありました。

コモンレール・システムは排気ガスクリーン化のカギ
 ディーゼル・エンジンの燃料噴射装置は、もともと、ガソリン・エンジンで言うところの「機械式インジェクション」に相当する、「列型」「分配型」などのメカニカル・ポンプシステムを使っていました。しかし、これらの機構は、駆動力をエンジン本体から流用する都合上、動作=燃料を噴射するタイミングなどの自由度があまり高くないことや、噴射圧力がエンジンの回転数に依存せざるをえないため、低回転域で思ったように燃料が噴射しにくいといった難点がありました。
 また、すべてのシリンダーに対して同じタイミングで、均等に燃料を噴射し続けるためには微妙な調整と定期的なメンテナンスが不可欠だったのですが、これを怠るオーナーが多いがために、「ディーゼル=黒煙モクモク」といったマイナスイメージが定着してしまったと言っても過言ではないでしょう。

 コモンレール・システム実用化の技術的困難について、簡単に説明しましょう。
 まず、ガソリン・エンジンは1回の爆発あたりに1回の燃料噴射で済みますが、ディーゼル・エンジンの場合、排気ガス成分中のPM(Particulate Matter 粒子状物質)やNOx(窒素酸化物)、エンジンの作動音を低減させるため、爆発1回あたり3〜5回程度もの燃料噴射を要求されることがあるのです。さらにその5回の燃料噴射量がそれぞれで異なり、噴射のタイミングは可能な限り(シリンダー間も含めて)ストロークごとに同じにしておきたい…といった、非常に高度な制御が要求されます。

 また、燃料の“燃えカス”であるPMの排出量を減らすためには、なるべく噴射した燃料の「液滴」を微細化しておくことが有効になります。
 噴射した燃料は液滴の外側から燃焼していきますから、かけられる時間が同じなら、液滴が大きいほうが中心部分まで燃え進みにくいことは理解できるでしょう。つまり、同じ量の燃料を噴射する場合、液滴を可能な限り微細化することで、排気ガス中の成分をよりクリーン化できるのです。

 その両方の要求を満たすために、燃料をなるべく高圧化しておきたい、という要求が出てきます。噴射圧力が高ければ、同じ量の燃料をより短時間で噴射できますから、1ストロークの限られた時間の中でより多くの回数、燃料が噴射できますし、液滴の微細化や、噴射した燃料を燃焼室の内部で活発に渦を巻かせる(これによって燃焼効率が高まる)ことなどの点でも有利になるからです。
 そこで開発されたのが、コモンレール・システムです。システムのポイントは、まず「デリバリーパイプ」もしくは「レール」と呼ばれる筒状の部分に溜めた燃料を、高圧ポンプによって加圧し続けておく点にあります。そうすることで、燃料噴射の自由度が高まるのです。

コモンレール・システムの構成

 デンソーが世界で初めて実用化したコモンレール・システムでは、レール内の燃料は常時800気圧程度に保たれていました。現在の第2世代、もしくは第3世代と呼ばれるタイプでは、なんと1600気圧程度にまで高まっています。言い方を変えると、レール内部には常に水深16000mの場所と同じだけの圧力がかかっている、ということです。ちなみに、次世代のコモンレール・システムでは、2000気圧を超えることが確実視されています。
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