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 トップページテクの雑学 > 第49回 グリーンプラ −土に返るプラスチック−
テクの雑学

グリーンプラ −土に返るプラスチック−

 いよいよ夏本番ですが、ここ数年、夏の猛暑と大雨の原因として、温暖化ガスによる地球温暖化の影響が取り沙汰されることが増えています。現在の気候と温暖化ガスの具体的な因果関係ははっきりしませんが、それでも地球の平均気温が温暖化ガスの排出量の増加に伴い、上昇しつつあるのはまぎれもない事実。今回のテクの雑学では、二酸化炭素排出量を減らすといわれる「グリーンプラ」をとりあげてみましょう。

地球温暖化の原因となる廃棄プラスチック
 地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素は、石油や石炭などの化石燃料や、それらからできるプラスチック類の燃焼で大量に排出されています。2004年、日本のプラスチック生産量は1,446万トンに対し、1,013万トンのプラスチックが廃棄されています。

 もちろん、廃棄されるプラスチックを、資源としてリサイクルするさまざまな技術が実用化されています。ゴミの分別回収による再資源化や、発電用燃料として再利用するなどの有効利用は進んできていますが、それでも廃棄プラスチックの40%は埋立や単純焼却により廃棄処分がされています。

地球温暖化の原因となる廃棄プラスチック

「プラスチックは分解できない」常識をくつがえす
 プラスチック(plastic)という単語を英和辞典で調べると、「形成する、どんな形にでもなる、順応性のある」という意味の形容詞だということが分かります。金属や木材などに比べ、自由な強度と形に形成できるプラスチックは、産業材や商品のパッケージに広く用いられてきました。

 しかし、地球温暖化をはじめとする環境問題に対する関心が高まるにつれ、プラスチックが廃棄時に環境に対して負荷をかけることが問題視されるようになりはじめました。一番の問題は、「プラスチックは分解できない」ことです。放置しておくと自然環境に返っていく、植物由来の紙や木材と異なり、プラスチックはいつまでもそのまま残ります。

 この常識をくつがえすのが、今回とりあげる「生分解性プラスチック」すなわち「グリーンプラ」なのです。生分解性プラスチックとは、微生物の働きで分解できるプラスチックのことです。分解後には、完全に水と二酸化炭素になります。グリーンプラとは、1995年に通産省が公募した生分解性プラスチックの愛称で、日本では広く使われています。

生分解性プラスチックの分解サイクル

植物からできる=環境にやさしい。
 生分解性プラスチックにはいくつかの種類がありますが、現在最もよく使われているのが、ポリ乳酸を原料としたプラスチックです。ポリ乳酸は、原料となる乳酸が、とうもろこしやイモなどからとれるでんぷんやサトウキビからとれるしょ糖から得られる、植物由来の原料です。

 ポリ乳酸は、高温・高湿度の環境下で、微生物の栄養源となって分解されます。分解時に放出される二酸化炭素の量は、自分自身の重さの約2倍といわれています。通常のプラスチックでは、燃焼すると自分自身の重さの3倍の二酸化炭素を放出するので、それよりも少なくなっています。また、植物由来の原材料を使用しているため、分解して放出される二酸化炭素は元々大気中に存在した二酸化炭素が植物により取り込まれたものであり、元々大気中にあった二酸化炭素を大気中に返すだけなので、さらに環境にかける負荷は少なくなると考えられます。

こんなところにもグリーンプラ
 身近にある高温高湿度の環境といえば、「土の中」です。欧米では、この特徴を生かして、生ゴミを堆肥化する「コンポストバッグ」用のゴミ袋として利用が進められてきました。日本でも、自治体を中心に、家庭用生ゴミを回収するコンポスト設備が作られており、コンポストバッグが利用されています。流しの排水口にとりつける水切りネットにも適した素材です。

 土のうや苗用のプラスチックポットにもグリーンプラが使われています。土に埋めてそのまま放置しておけば、やがて分解されてなくなってしまうので、手間もかからず環境にもやさしく、まさに一石二鳥ですね。

 また最近は、自動車やプラスチックの部品なども、グリーンプラに代替する研究がすすんでいます。富士通では、自社製のパソコンの筐体に、グリーンプラを採用しています。生分解性といっても通常の環境では分解することはありませんから、どんどん活用していって欲しいものです。

 2005年に開催された愛・地球博では、会場内のゴミ袋や飲食施設で使用する食器類にグリーンプラを採用しました。会期終了後は、破損した食器類をプランターにリサイクルして、その年の秋に岡山県で開催された国民体育大会の会場で使用したりなど、徹底したリサイクルが話題になりました。

愛・地球博で使用された、グリーンプラを採用した食器類 (資料提供 財団法人2005年日本国際博覧会協会)

 2003年度の日本全体の二酸化炭素排出量は、12億5,900万トン。現在、日本で生産されているプラスチックが全てグリーンプラになったとしても、減らせる二酸化炭素の排出量は微々たるものかもしれません。それでも、できることから少しずつ積み重ねていくことが、地球温暖化を少しでも食い止めるためには必要なのです。この機会に、身の回りのプラスチックをもう一度見直してみませんか?


著者プロフィール:板垣 朝子(イタガキアサコ)
1966年大阪府出身。京都大学理学部卒業。独立系SIベンダーに6年間勤務の後、フリーランス。インターネットを中心としたIT系を専門分野として、執筆・Webプロデュース・コンサルティングなどを手がける
著書/共著書
「WindowsとMacintoshを一緒に使う本」 「HTMLレイアウトスタイル辞典」(ともに秀和システム)
「誰でも成功するインターネット導入法—今から始める企業のためのITソリューション20事例 」(リックテレコム)など


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