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ワイヤレス化でさらなる使い勝手の向上を −ワイヤレスUSB機器の登場は間近−

 パソコンと周辺機器の使い勝手を大きく向上させた最大の功労者のひとつとして、USB(Universal Serial Bus)が果たした役割の大きさと、そこに盛り込まれた賢い工夫については、以前に採り挙げました。

関連情報リンク
Tech-Mag 2005年8月上旬号/テクの雑学/パソコンを革命的に使いやすく
 — 接続規格「USB」の賢い工夫

 その後もUSB規格は進化を遂げ、パソコンなどのホスト機器を介さず、周辺機器同士で直接通信できる「USB On-The-Go」規格や、接続部分を無線化した「ワイヤレスUSB」といった新たな規格の策定が進んでいます。今回は、そのうちワイヤレスUSBについて触れてみたいと思います。

よりユーザビリティを向上させる無線化
 まず、USB規格の画期的だった点をまとめてみましょう。
  • 機器の種類を問わず、幅広く利用できる汎用性の高さ
  • 1コントローラーあたり127台までの機器が接続できる使い勝手のよさ
  • バス自体が機器へ電力を供給する「バスパワー」の実現
  • 端子を接続するだけで機器が利用可能になる「プラグ・アンド・プレイ」の実現
  • パソコンや機器の電源を入れたままで接続/切断できる「ホットスワップ」の実現
 これらの特長を併せ持つことで、USBはたいへん使い勝手のよい接続規格として、一気にブレイクしたわけです。
 唯一の難点は転送速度でした。初期の規格であるUSB1.0〜USB1.1では、データの最大転送速度が12Mbpsに留まっていたため、サイズが大きくなりがちな画像ファイルなどを複数同時に転送する際などは、長い時間がかかってしまいがちだったのです。しかし、現在主流となっているUSB2.0規格では転送速度が最大480Mbpsと大幅に高速化されています。これによって、速度面での不満はほぼ解消されたと言っていいでしょう。

 このようなUSBの特長を、ほぼそのまま引き継ぎながら、接続部分を無線化しよう、というのがワイヤレスUSB規格です。多数の機器を接続する際など繁雑になりがちなケーブルをなくしてしまうことで、より一層使い勝手を向上させることと、機器間の通信可能距離を延長することが、おもな開発目的となっています。

すでに規格は完成・公開済み
 ただし、実は「無線USB機器」はすでにいくつも実用化されています。具体的な製品としてはキーボード/マウス、スピーカー、ヘッドフォン/ヘッドセットなどがあり、独自の送受信機をパソコンのUSBポートに挿し込むことによって、機器との間で無線通信を行なうスタイルとなっています。これらの機器は、無線通信部分に赤外線、もしくはIEEE802.1xなど既存の無線通信規格を使っていますが、この部分に高い汎用性を持たせたものがワイヤレスUSBと考えていいでしょう。

 ワイヤレスUSBの仕様は、アギア・システムズ、インテル、NEC、サムスン、ヒューレットパッカード、ロイヤル・フィリップス・セミコンダクター、マイクロソフトの7社で結成された「Wireless USB Promoter Group」が主導し、その後参加した100社以上の企業との協力によって策定作業が進められ、2005年5月に最初のバージョンの完成が告知されました。

ワイヤレスUSBのネットワークとは?

 現時点で決まっている仕様(Certified Wireless USB ロゴ取得条件)は、以下のような内容になっています。
  • 既存のUSBと同じルック・アンド・フィール(操作性)、イーズ・オブ・ユーズ(使い勝手)をキープ。
  • 物理層(無線通信部分)と論理層(USB規格部分)で構成され、物理層にはUWB(Ultra Wideband)という無線通信技術を用いる。
  • 通信距離3mで転送速度480Mbpsを実現
  • 最大通信到達距離10mで、通信速度110Mbpsを確保
  • 1つのコントローラーに複数の機器を接続した場合、QoS(Quality of Service)によって特定の機器に広帯域幅を割り当てることが可能
 UWBは、BluetoothやIEEE 802.11a/b/gなどの無線LANよりも高速なデータ通信速度を目指した通信規格です。3.1G〜10.6GHzという広い帯域の周波数帯を、複数のバンドに分割し、必要に応じて束ね、同時に使用することで転送速度を高めているのが特徴です。UWBにもいくつかの方式がありますが、ワイヤレスUSBではインテルなどが推進する「WiMedia UWB」方式を採用することになっています。

ワイヤレス化によるデメリットとは?
 さて、ワイヤレス化することで、従来のUSBには存在しなかったいくつかの問題点が生じてしまいますが、当然、ワイヤレスUSB規格はそれらに対する解決策も折り込み済みです。
 まずはセキュリティ面です。通信可能な範囲にあるワイヤレスUSB機器がなんでもかんでも接続されてしまうようでは困りますし、特にビジネスユースではデータ傍受といった問題への対策をこうじておく必要があります。
 実際の製品では、ワイヤレスUSB機器とPCを最初に一度だけ有線で接続する、もしくはホストコントローラーから30cm以内といった非常に近い距離に置くことで「セキュリティID」を交換し、その後は相互に信頼できる機器として通信が可能になる、という仕組みが導入されることになりそうです。
 また、データを通信する際には「セッション鍵」による認証を使うことで、同じホストに接続する他の機器が傍受できないような仕組みも盛り込まれています。セッション鍵は接続するたびに新しいものに置き換えられ、また接続中も一定間隔で更新されるので、データが傍受される危険性は無視できる程度と考えていいでしょう。

USB無線プラットフォームビジョンとは?

 もうひとつの問題は、バスパワーが使えなくなることです。電力を無線で供給する技術も各種開発されていますが、残念ながら現時点のワイヤレスUSBにそのような仕組みは採用されていません。将来的にはそこまで踏み込んだ仕様となるかもしれませんが、現時点のワイヤレスUSBは、基本的にそれぞれの機器が専用の電源で動作する「セルフパワー」駆動の機器を対象としたものと考えていいでしょう。
 ただし、有線用デバイスをワイヤレスUSBで使うための「無線アダプター」を介する場合、アダプターはUSBハブを兼ねるものになるはずなので、そこからバスパワーで駆動することは可能です。

 ワイヤレスUSBの対応製品は、すでにいくつかがスタンバイ済みです。例えば、2006年1月初旬にアメリカで開催されたInternational Consumer Electronics Showの会場では、ハードディスクの大手メーカーであるSeagate Technology社が、世界初のワイヤレスUSB製品となるポータブルハードディスクを出品し、保存した動画ファイルをPCで再生するというデモを行なっていました。ハードディスクとPCとの距離は50cm程度でしたが、動画はスムーズに再生できていましたから、予定通りの高速な転送速度は実現されていると見ていいでしょう。
 この製品が市販でも一番乗りするかどうかはわかりませんが、今年の春先ごろから、各種のワイヤレスUSB機器が市場に投入されることになると見られています。従来どりの使い勝手のよさに加え、ワイヤレスという特質を活かして、アッと驚くようなユニークな製品の登場が期待されるところです。


著者プロフィール:松田勇治(マツダユウジ)
1964年東京都出身。青山学院大学法学部私法学科卒業。在学中よりフリーランスライター/エディターとして活動。
卒業後、雑誌編集部勤務を経て独立。現在は日経WinPC誌、日経ベストPCデジタル誌などに執筆。
著書/共著書/監修書
「手にとるようにWindows用語がわかる本」「手にとるようにパソコン用語がわかる本 2004年版」(かんき出版)
PC自作の鉄則!2006」「記録型DVD完全マスター2003」「買う!録る!楽しむ!HDD&DVDレコーダー」など(いずれも日経BP社)


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