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 トップページ電気と磁気の?(はてな)館 > No.44 超音波で霧をつくり出す加湿器のしくみ
電気と磁気の?(はてな)館

超音波で霧をつくり出す加湿器のしくみ

家庭向け小型加湿器を実現したTDKの超音波霧化効果の研究
 超音波によって霧を発生する技術は、加湿器や吸入器などとして広く利用されています。水槽の底に圧電セラミックスの振動子を設置し、これに高周波の交流電圧を加えると、発生した超音波の振動エネルギーは水面に伝わり、ある条件下では水面の一部が隆起して、そこから微細な霧が発生します。ミクロ的にはっきり解明されてはいませんが、隆起した水面の表面張力が部分的に低下して起こる現象と説明されています。これは中国で古くから伝わる“噴水魚洗”とも似ています。噴水魚洗とは左右に取っ手がついた銅盆で、水を張って取っ手を両手ですばやく摩擦すると、水面から水しぶきが上がります(本シリーズ第11回で紹介)。銅盆に入れた水の固有振動数と、摩擦による振動周期が一致したときに起きる共振現象によるものですが、超音波加湿器は共振周波数がきわめて高いので霧が発生するのです。
 1973年、超音波による霧化効果を、家庭用加湿器として応用するための研究に取り組んだのはTDK。家庭用加湿器として製品化するためには、小さな圧電振動子でも大きな霧化量を得ることのできる効率的なシステムが必要となりますが、当時、この方面は未開拓の技術分野となっていたのです。
 超音波を利用した霧化装置においては、圧電振動子の共振周波数や水深が、霧化量と関わってきます。たとえば同じ周波数でも、水深によって霧が発生したり、しなくなったりします。また、大きく薄い振動子を用いれば、霧化量が増えそうですが、実際にはそのような結果は得られません。TDKはさまざまな実験から、圧電振動子の大きさや厚み、周波数、音圧、水深などの最適条件を割り出すとともに、圧電振動子を水平ではなく、7°傾けて設置することで、霧化効率を最大化できることを突き止めました。これは実用新案として認定され、1977年に超音波加湿ユニット“ネブライザ”として製品化。小型・高効率な家庭用加湿器としてさかんに利用されるようになりました。

圧電セラミックスの拳動 圧電振動子
圧電振動子による霧化効果

家庭用から医療用、産業用まで、広く活躍するTDKの超音波加湿ユニット“ネブライザ”
 家庭用など、一般用途向けの超音波加湿器のしくみをご紹介します。給水タンクから霧化室に供給される水は、フロートスイッチにより一定水位を保つようになっていて、霧化室の底には圧電振動子が設置されています。圧電振動子は円盤状の圧電セラミックプレートの両面に金属電極をめっきで形成した素子。駆動回路から高周波の電圧が加わると、圧電振動子は超音波振動子として機能し、その振動エネルギーは水面に集中して水柱が立ち、表面張力が大幅に低下した水柱の先端部から水の微粒子が飛散します。これを送風ファンのエアフローによって、霧として送り出すというのが基本のしくみです。超音波加湿器の霧粒は数ミクロン(μm)程度ときわめて微細なため、まるで白煙のような霧を発生します。
 ぜんそくやアレルギー性鼻炎といった呼吸器疾患などの治療に使われる薬剤吸入器にも、TDKの超音波加湿ユニット“ネブライザ”が活躍しています。通常の加湿器と違うのは、水ではなく薬剤溶液を霧化させること。このためダブルチャンバー方式という二重容器が採用されています。まず水を超音波振動させ、その振動エネルギーを超音波透過膜を通じて薬剤容器に伝える方式です。
 TDKの超音波加湿ユニット“ネブライザ”は、ローコストかつ小型化を追求した省部品・省スペース設計で、長期にわたり高い信頼性を保持するのが特長。家庭用加湿器や薬剤吸入器ばかりでなく、一定湿度を保つ必要のある美術館やコンピュータルーム、青果ショーケースやキノコ栽培ほか、湿度ムラが製品の品質に悪影響を及ぼす製紙工場など、産業分野においても広く活用されています。

加湿器(一般用途向け)の構造

薄膜バンドパスフィルタの構造と製造法

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