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なるほどノイズ(EMC)入門2

パソコンの放射ノイズ対策はインタフェースがポイント

 電子機器のデジタル化・高速化はとどまることのない技術トレンド。パソコンのクロック周波数も年を追うごとに高まり、画像や映像などの大量データの伝送は、USBやIEEE1394などの高速インタフェースにより短時間で実行できるようになりました。その一方で、ますますシビアな対応に迫られているのが放射ノイズ問題。従来、30MHz〜1GHzだったパソコンの放射ノイズ規制は、6GHzにまで拡張することがCISPR(国際無線障害特別委員会)によってすでに決定されています。

パソコン内部ではマザーボードがノイズの主な発生源
 地上デジタルテレビ放送が視聴できる“ワンセグ”機能が、携帯電話に続いてノートパソコンにも搭載されはじめています。もともと“ワンセグ”放送というのは携帯電話だけでなく、ノートパソコンを含めた移動体端末(モバイル機器)を対象としたもの。ノートパソコンなら高精細な映像を携帯電話より大画面で見られます。
 従来、テレビ機能がついているパソコンといえばデスクトップ型が中心で、ノートパソコンへの搭載はそれほど進みませんでした。これには理由があります。実はテレビのチューナーは、パソコンと相性がよくありません。さまざまなノイズにあふれるパソコン内部は、チューナーにとってきわめて劣悪な環境だからです。デスクトップ型ならノイズ発生源とチューナーを遠ざけることも可能ですが、回路が高密度に凝縮されたノートパソコンでは、チューナーを内蔵させるためのスペースを確保することすら困難。このためチューナーは外付けタイプが主流となっていました。
 パソコンに出入りするノイズとしては伝導ノイズと放射ノイズがあります。電源線や信号線から伝わる伝導ノイズに対しては、LCフィルタやコンデンサ、インダクタ、チップビーズなどを用いた“フィルタリング・反射・吸収”といった手法で除去できますが、空間を伝わる放射ノイズについては、金属や電磁シールド材によるシールディングという手法が不可欠となります。
 パソコン内部において、とりわけ大きなノイズ発生源となっているのはマザーボードです。パソコンの頭脳にあたるCPUほか、チップセットやメインメモリといったLSIが搭載され、デジタル信号の高速伝送・処理にともなう周期性ノイズが放射されます。デスクトップパソコンの場合は、金属筐体で囲まれているので、マザーボードからの放射ノイズが直接、他の電子機器に与える影響はかなり低減されます。しかし、プラスチック素材が使われるノートパソコンは、そのままではマザーボードが剥き出しに搭載されているのに等しく、導電塗料をスプレーしたりして放射ノイズを遮断しています。しかし、それでもなおパソコンから放射ノイズを完全に除去することはできません。

パソコン内部ではマザーボードがノイズの主な発生源

完全なEMCの概念図 主な高速インタフェースの種類とスピード

差動伝送方式の高速デジタルインタフェース
 パソコンからは多かれ少なかれノイズが放射されていることは、携帯ラジオをパソコン本体やモニタ、インタフェース・ケーブルに近づけると受信障害が起きることで確かめられます。また、ADSLや無線LANの通信速度が落ちたりといったトラブルの多くにも放射ノイズが関係しています。
 現実にはパソコンを完璧なシールドするというのは不可能です。というのも、パソコンは外部機器と接続されるため、そのインタフェース部が放射ノイズの出入口となるからです。とりわけキーボード、マウス、モニタ、プリンタなどと接続するケーブルは、放射ノイズのアンテナとして機能します。
 ノイズの伝わり方にはディファレンシャルモードとコモンモードの2種類があります。2本の導線を往路・帰路とするノイズをディファレンシャルモードといい(信号電流もディファレンシャルモードです)、床や大地などを経由して機器に侵入してくるのがコモンモードノイズです。コモンモードノイズの電流は信号電流などと比べて微弱ですが、大きなループを描くことが多く、その結果、離れた電子機器にも誤動作などの被害を及ぼします。
 パソコンとプリンタなどの周辺機器を接続するインタフェースとして、以前はパラレル・インタフェースが用いられていました。16ビットや32ビットなどのデータを、同期をとりながらまとめて伝送する方式です。しかし、この方式は複数の信号線を必要とするばかりでなく、さらなる高速化に対応できないという問題をかかえていました。クロック周波数が高まるにつれ、信号線の長さや形状などが原因して信号到達速度はビットごとに異なるようになり、同時に届かなくなるという現象が起きるからです。
 信号をビットごとに順次伝送するシリアル伝送ならば、こうした問題を回避できます。とはいえ信号線と往路、アースを帰路とするシリアル伝送(シングルエンド)では、信号線とアースの間の浮遊容量のアンバランスによってノイズが発生したり、また外来ノイズの影響を受けて機器の誤動作をもたらしやすいという問題が発生します。
 そこでデジタル信号伝送の高速化の切り札として登場したのが差動伝送方式です。これは位相を180°反転させた信号を2本の信号線で伝送し、受信側では2本の信号の差を検出するという方式です。外来ノイズに強く、不要放射も少なく、高速化にも向いています。

差動伝送方式の基本原理

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