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Updated Nov.24,2004 
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第10回 インテリジェント時代のカーテクノロジー - その1
マグネットワールドの未踏領域
-フェライトマグネットFB9材-

■ モータ効率の改善は絶大な省エネを生む
■ フェライトマグネットは日本のオリジナルな発明
■ フェライトマグネットの特性向上は限界か
■ FB9シリーズのブレクスルー技術と新材料への挑戦

 FB9シリーズのブレクスルー技術と新材料への挑戦 ページ 1へページ 2へページ 3へ
マグネトプランバイト型ストロンチウム系  フェライトの単位胞
■ マグネトプランバイト型ストロンチウム系  フェライトの単位胞(結晶の最小単位)
矢印はFe3+の磁気モーメントの向き。FB9材はSr2+(ストロンチウム)とFe3+の一部をランタン(La3+)と亜鉛(Zn2+)で置換した新組成のフェライトマグネット材料。

※電子機器のモバイル化にも高性能マグネットは不可欠
 この難関にチャレンジしたのがTDKである。まずフェライト微粒子を1μm以下のギリギリのサイズまで微細化するサブミクロン粒子制御技術を確立した。従来は高温仮焼したフェライト粒子を機械的に砕いて粉末化していたが、これではサブミクロンサイズの粒子を得るのが難しい。そこでTDKは微細原料を均一に混合、仮焼温度を低温化することでこの問題をクリアした。つまり仮焼段階でサブミクロン粒子をつくってしまうという斬新な技術である(サブミクロンサイズのフェライト粒子)。

 配向率を極限にまで高めるための新たな技術も導入された。フェライトのサブミクロン粒子は1つ1つが磁石として振舞うため、磁気的に強く凝集してしまう。そこで粉砕歪を利用してこの磁気的な凝集力を緩和させる技術とともに、水を溶媒とする湿式法の分散剤に、新たに低分子型の分散剤を採用した。

 最大のブレイクスルーとなったのは優れた基本物性を示す新組成の発見である。フェライトはわずかの添加物によって性質が大きく変わる材料として知られる。したがって、マグネトプランバイト型の結晶を構成するイオンの一部を他のイオンと置換させれば、磁気特性を変えられることは容易に想像できる。しかし、飽和磁化や結晶磁気異方性定数といった基本物性の大幅向上につながる研究報告はなかった。

 さまざまな試行錯誤の末に、TDKは1996年、ランタンと亜鉛を含有させた新組成を開発。これを足がかりとしてランタンとコバルトを含有させた新材料の開発に成功した。これがスーパーハイグレード・フェライトマグネットFB9シリーズである。従来、世界最高特性を維持してきたFB6シリーズと比べ、残留磁束密度で7〜13%、最大エネルギー積で20〜30%も向上させており、マグネット体積にすると25%減少となる画期的な材料である。さらに、フェライトマグネット特有の低温減磁の問題も解決した。−40℃の酷寒にも対応するため、自動車用モータにもうってつけである。これらはフェライトマグネットの技術史において、類のないジャイアントステップである。ITSやテレマティクスを目指す自動車業界からも、大きな期待が寄せられている。

 TDKの技術陣はフェライトマグネットの理論値をはるかに超える次世代マグネットの研究も進めている。FB9シリーズによって、マグネトプランバイト型という山脈のピークはあらかた踏破されたが、フェライトマグネットにはマグネトプランバイト型と似た結晶構造をもつ一連のタイプがある。おそらく次世代マグネットという未踏のピークも、これらの新山脈から発見されることになるだろう。

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