石造建築やペーブメント、墓碑などに使われる花崗岩は、複数の造岩鉱物による斑状模様が特徴で、日本では最もよく知られた岩石の1つ。灰色のガラス状部分は石英、白色あるいはピンク色部分は長石、ゴマ粒のように見えるのは雲母(うんも。黒雲母)です。花崗岩はマグマが地下深部でゆっくりと冷却・凝固してできた火成岩(深成岩)です。凝固の最終過程ではマグマの揮発性成分が濃縮して、ペグマタイトと呼ばれる岩帯が形成されます。ここでは造岩鉱物の結晶がよく成長するため、鉱物標本の天然の宝庫となっています。六角板状の大きな雲母の結晶の多くも、花崗岩ペグマタイトに産出します。
雲母はかつて医薬品に使われ、中国では山中で雲が湧き出るところの直下に産するという迷信があったため、雲母と呼ばれました。雲母の和名である“きら”“きらら”は、細かく砕いた雲母の薄片が光を反射してキラキラと輝くことが語源です。火山列島である日本では花崗岩は珍しくありませんが、利用価値の高い雲母の産地はかぎられています。『続日本紀』には、和銅6年(713年)、大和・三河・陸奥に雲母を献上させたと記されています。この三河の産地とは現在の愛知県吉良町近辺と推定され、吉良という地名は雲母の“きら”に由来するといわれます。