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磁気と生体

第21回「生体磁気を観測する」

-人体のヒエログリフ、生体磁気を解読する-

■話題の地震予知法「VAN法」とは?

 近い将来、首都圏を襲う可能性が高いとみなされる大地震には2種類ある。ひとつは駿河湾を震源として起きると推定され、常時観測が続けられている東海地震のような海溝型地震で、日本の太平洋沿岸地域はおよそ数百年ほどの間隔で、巨大な海溝型地震に見舞われている。もうひとつの大地震のタイプは、1995年1月に阪神大震災をもたらした兵庫県南部地震のような直下型地震である。

 ところで、阪神大震災のあと、VAN法と呼ばれるギリシアの地震予知法が、にわかに注目を集め出した。地表には「地電流」という微弱な電流が流れているが、地震の発生前には、この地電流に変化がみられるという。そこで、この変化を解析することで、震源地や地震発生日、地震の規模などを予知しようというのがVAN法。VANというのは、この予知法の開発者の名前の頭文字をとったもの。

 すでにギリシアでは国内に18か所の観測点が設けられ、過去4年間の予知成功率は5〜6割に達するという。近くは1993年のマグニチュード5.9の地震において、4000軒の家屋倒壊にもかかわらず、予知情報によって死者はわずか1名に食い止められた。こうした功績により、1995年からVAN法はギリシアにおける公式の地震予知法として採用されることになった。

 昔から地震の前兆現象として、雷のときのように空が光ったり、地震雲と呼ばれる異様な雲の発生が見られると伝えられる。これらの現象も地電流の変化と関係があるようだ。



■“ミニ地球”の人体にも電気や磁気が発生

 地震直前に地電流に異常信号が現れる理由は、次のように説明されている。震源地で地殻の崩壊などが起きると、地殻の磁気特性(透磁率)が急激に変化するため、電磁誘導の法則によって起電力が生じ、地殻内に異常な電流が流れる。この電流が地下水を含む活断層など導電性の高い部分を伝わってくるというのだ。

 ネムノキをはじめマメ科の植物は地震に敏感といわれ、以前から日本でも地震予知に役立てる研究が行われてきた。これも植物が地電流の変化に反応するためと考えられている。残念ながら日本では人工ノイズが多すぎてVAN法の利用は、今のところ難しいといわれる。しかし、ノイズ除去の技術は日進月歩であり、近い将来、直下型地震の予知もかなりの確率で可能になるかもしれない。

 地球のマントル対流によって、地殻の新陳代謝がたえず行われているからこそ地震は起こる。活断層の動きというのも寝返りのようなもので、地球が生きていることの何よりの証拠でもある。ミニ地球ともいわれる人体からも、地電流さながらさまざまな生体電気が発せられている。電流が発生するところに磁場が生まれるのは物理学の法則が教えるところ。したがって、地電流が地震情報を含んでいるのならば、生体電気や生体磁気の分析も病気診断に役立つはずである。とりわけ、科学的解明が進んでいない生体磁気は、DNAの塩基配列とともに、解読が待たれる人体最後のヒエログリフ(神聖文字)ともいえる。



■生体磁気の研究が立ち遅れていた理由は?

 生体電気については、18世紀にイタリアのガルバーニがカエルの足の筋肉が、雷雲からの放電によって、けいれんする事実を突き止めて以来、さかんに研究が進められてきた。今日の医学で利用されている心電図、筋電図、脳波というのも、生体電気を体表にセットした電極で検出するものである。これは大地に電極を埋めて地電流を計測する方法と原理的に同じである。

 しかし、電気現象に磁気現象はついて回るにもかかわらず、生体の磁気現象の研究はきわめて立ち遅れている。理由は生体が発する磁場はきわめて微弱なため、生体電気のように簡単に計測できないことによる。方位を知るコンパスも磁気センサの一種である。しかし、微弱な生体磁気を検知するには、磁気を電気に変換するきわめて高感度な磁気センサが必要とされるのである。

 磁気センサとしては、ホール効果を利用した半導体磁気センサ、磁気抵抗効果を利用した金属磁気センサが知られる。自動改札機や自動販売機などにおいて、切符の磁気データや紙幣の磁気インクのパターンなどを検出するセンサとして利用されているし、コンピュータやオーディオの磁気ヘッドもまた、一種の磁気センサにほかならない。

 しかし生体磁気は、切符や紙幣、磁気テープなど磁気強度の数100万〜数100億分の1しかない。しかも、地磁気や人工的な磁気ノイズに覆われてしまうため、生体磁気は理論的に存在が考えられるだけで、実際に検出することは従来ほとんど不可能であった。

 そうした生体磁気の研究に突破口をもたらしたのが、1960年代に開発されたジョセフソン接合素子。超高速コンピュータの演算素子としてのみ注目されがちだが、ジョセフソン接合素子は磁場にきわめて敏感という特性も併せもっているのだ。

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