TDK
Tech-Mag TDK Techno Magazine 〜テクマグ〜
サイト内検索
メールマガジン登録個人情報保護基本方針
home
電気と磁気の?館
じしゃく忍法帳
フェライト・ワールド
column
テクの雑学
アースサイエンス&TDKテクノロジー
パワーエレクトロニクス・ワールド
コンデンサ・ワールド
なるほどノイズ(EMC)入門2
なるほどノイズ(EMC)入門1
過去の読み物
世界陸上@TDK
Techno-Box@TDK
あっとデバイス
テクのサロン
with ferrite
テクの図鑑
磁気と生体
TDKの書籍

TDKホームページ
 トップページ過去の読み物磁気と生体
磁気と生体

第15回「東洋医学と磁気(1)」

-東洋医学の経絡は「気」の流れか? 生体磁気との関連に世界が注目!-

■西洋医学が見落とした生命エネルギー

 健康への関心が高まり、このところ「気功」がブームである。現代中国で国民的体操として奨励されている太極拳も気功とルーツは同じ。生命エネルギーを身体内部から鍛えあげ、基礎体力を高める健康法で、近ごろでは病気の治療にも用いられる。日本で創始された合気道もまた、気を活性化させる技による護身術。では、いったい「気」とは何かというと、その正体ははっきりと分からないのである。

 「観天望気」という言葉がある。雲や風、太陽や月の運行などから天候を予測することをいう。中国では古くから、万物には気が流れるという自然観が打ち立てられていた。天には天の気、地には地の気、そして人の身体にも精神にもあまねく気が満ちていると考えられた。その後、万物の生体変化は陰陽2気の運動からなるという「陰陽理論」が発展し、さらに木・火・土・金・水という5つの性質の相関から事象を説明する「五行説」が生まれた。両者を総合して「陰陽五行説」という。たとえば、風というのは天と地の気が合わさり生じるもので、季節の変化も気の運行リズムによって繰り返されると陰陽五行説は説明する。



■気功麻酔で無痛の外科手術も可能

 ハリ・灸・湯液・気功といった中国の伝統医学は、この陰陽五行説の理論に基づいている。湯液とは、日本で漢方と呼んでいる生薬処方のこと。江戸時代に渡来した西欧の洋方や蘭方と区別するために、それまでの医学は漢方と称されるようになったのだ。ところが、明治維新後の近代化政策により西洋医学が採用されるや、漢方をはじめとする伝統医学は著しく衰退してしまった。本家の中国においても陰陽五行説は迷信扱いされ、その理論に基づく伝統医学や気功もまた非近代的なものとして冷遇された時期がある。

 中国医学と西洋医学の統一を目指した新中国の医学界が、世界を驚かせたのはハリ麻酔である。経絡(身体のツボのネットワーク)の存在さえ疑いがもたれていたころ、まして麻酔薬なしで外科手術が可能であるとは、西洋医学の立場からは信じられなかったのだ。さらにハリ麻酔に続いて、1980年ころには初の気功麻酔も上海で成功した。気功師が患者のツボに気を当てると麻酔効果が現れ、外科医が患部を摘出している間、少しの苦痛も感じられなかったという。



■気はオーラと無関係ではない

 気功には自分で呼吸を整える健康法としての内気功と、修練を積んだ気功師から気を当ててもらう外気功がある。患部やツボに気を当てる外気功治療は、消化器、呼吸器、心臓血管系、神経系など、適用範囲はきわめて広く、リハビリにも効果があるという。下半身不随の患者が気功治療で歩けるようになったという例は珍しくない。

 気には実体がないためいまだ謎が多いが、機器によって検知、間接的に知ることはできる。実験によれば、気功師の身体からは、明らかに遠赤外線、電磁波、マイクロ波などが計測されるという。また、脳波測定をすると、気功の開始前には瞑想時のようなα波がみられるうえ、イメージ脳といわれる右脳のはたらきが活発になる。そして、気を当てるときには、不思議に脳波は後頭部に集中するという。

 ところで、「オーラ(AURA)」を撮影するキルリアン写真というものがある。装置は比較的単純で、高周波電場の中にフィルムや印画紙を設置し、その上に手を置いて撮影・現像すると、指先から放射状に光線のようなものが出ているのが確認される。オーラというのはすべての生命体から発散されていて、その健康状態を表すものだという。

 超常現象として語られがちなオーラも、生体現象のひとつである。それを無理に意味づけたりすると、かぎりなくオカルトに近づくだけの話。欧米ではもっとドライに割り切り、患者のオーラ変化を治療経過の参考にする精神分析医もいる。むしろ注目すべきは気功師が気を発すると、この光線のようなものが劇的に増大する事実。気の正体は定かでないが、どうやらオーラ現象と関係があるようなのだ。

 旧ソ連の物理学者、キルリアンのオーラ理論によれば、すべての物体は磁気エネルギーの場に包まれ、周囲の他のエネルギーを媒介するという。そして、それは人体においては内分泌腺と深く関連するという。もちろん、これは仮説だが、すべての物体が磁気エネルギーと相互作用をするというのは物理学的にも至極当然のこと。内分泌腺についてはあいまいなままだが、東洋医学の経絡と関わりがあるとみなすならば、あながち荒唐無稽な理論とはいえない。



■経路は体液の流れという新説

 西洋と東洋の医学は、思想と方法が異なるが、生体の磁気エネルギーの研究を通し、その接点が見つかりそうな状況もある。磁気エネルギーが気そのものというわけではないが、東洋医学の思想原理である気を科学的にとらえていくと、物理現象の根本である電磁気と大きく重なるからだ。

 近年、経絡とは体液の流れのことであるという説が注目されている。東洋医学における五臓六腑というのは、解剖学的な内臓と必ずしも一致しない。かといって、これは東洋医学の欠陥を意味するものでもない。五臓六腑と連絡しているという経絡が、神経や血管のように目に見えないのは、器官や組織のすきまを流れる体液に関係するからではないかという説もある。実際、経絡のはたらきを判定するという測定器も開発されている。それによれば身体を流れる気のスピードは毎秒20〜30cmという。

 ところで、気功に匹敵するほど歴史が古いのが磁気治療。こちらは欧米でも古代ギリシア以来の伝統をもつが、理論的な説明が困難だったがために、医学の表舞台には登場しなかった。しかし、すでに磁気ネックレスをはじめとする磁気治療器は、肩こりなどにすぐれた効果を発揮することは実証されている。

 体液はさまざまな電解質成分をもつ電気伝導性流体であり、体液が磁場の中を流れることにより起電力が発生し、それが生体にさまざまな作用をおよぼすことも指摘されている。現在、世界的に注目される気と、生体内外の磁場との関わりの研究が進めば、気功治療と磁気治療のさらに詳しいメカニズムがわかるかもしれない。しかし、気功であれ磁気治療であれ、理論の確立に関係なく、試してみてはじめて恩恵が得られるもの。理論一辺倒の現代人は、ともすればこの単純な事実を忘れがちである。


ページtop
HOME 電気と磁気の?(はてな)館 アースサイエンス&TDKテクノロジー テクの雑学 コンデンサ・ワールド
Copyright(c) 1996-2014 TDK Corporation. All rights reserved.
※記事の内容は、記事掲載時点での情報に基づいたものです。一部、現在TDKで扱っていない製品情報等も含まれております。
TDKホームページは、Internet Explorer5.5以降、Netscape Navigator7.0以降でご覧いただくことを推奨しています。