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ワイヤレス・ヘルスケア機器に向けた非接触給電システム

Vol.3ワイヤレス・ヘルスケア機器に向けた非接触給電システム

スマートフォンやタブレット端末には、加速度センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ、温度センサ、GPSセンサなど、さまざまなセンサが搭載されていて、その数は年を追うごとに増え続けています。"センサハブ"という新語もひんぱんに使われるようになりました。従来のように個々のセンサの情報をCPUが処理すると、消費電力が増大してしまいます。そこで、複数のセンサを低消費電力のセンサハブICで統合的に処理することでバッテリの持ち時間を延長させようというものです。スマートフォンの進化はとどまることを知りません。高性能な各種センサを搭載したスマートフォンは、AI(人工知能)技術やロボット技術などとも融合して、暮らしや仕事における心強いパートナーとなる"スマホ型ロボット"あるいは"ロボット型スマホ"になっていくとも予測されています。

人の五感とスマートフォン、ロボットに使われている各種センサ

24時間モニタリングできるウェアラブルな血圧計も実現間近

対象物から情報やエネルギーを検出して電気信号に変えるのがセンサの役割です。人間の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、皮膚感覚)に対応した各種センサが、電子・電気機器などに多用されています。単にセンサ信号を情報処理して出力するだけではなく、センサ側にフィードバックすることで、機器の最適制御や自動運転なども可能にします。

呼吸数や心拍数、血圧や血糖値などのバイタルサイン(生体情報)を得るバイタルセンサは、ウェアラブルなヘルスケア機器に不可欠です。健康志向の高まりとともに、リストバンド型や腕時計型など、さまざまな活動量計が市販されるようになりました。スマートフォンなどとのハブ機器との無線通信によるペアリングには、低消費電力を特長とするBLE(Bluetooth Low Energy)が利用されています。身に着けるだけで、歩数、移動距離、心拍数、消費カロリーなど、センサを通じてバイタルサインを検出してデータを無線送信、24時間365日の健康管理が実現します。

ウェアラブル機器に向けて、さまざまな新デバイスも開発されています。TDKのSESUB-PAN-T2541は独自のIC内蔵基板"SESUB(セサブ)"を用いた小型BLE通信モジュール。バッテリとセンサとの組み合わせにより、ウェアラブルな脈拍計も可能になります。また、TDKでは気圧センサなど、さまざまなセンサも提供。たとえば、各種の小型センサを利用して、デザインおよび機能性にすぐれたブレスレット型やネックレス型のウェアラブル機器とすることで、お年寄りの転倒を防止する"みまもりシステム"等も可能になります。

しかし、バイタルサインの中でも活動中の検出が難しいのが血圧です。水銀柱を用いた伝統的な血圧計(コロトコフ法)のほか、家庭などでは電子血圧計(オシロメトリック法)が使われていますが、いずれもカフ(圧迫帯)により、上腕や手首などを圧迫し、血流をいったんとめて測定する方式です。圧迫なしに連続的に測定できる血圧計はなかったのです。

しかし、最近ではウェアラブルなカフレス血圧計も開発されるようになりました。日本大学で試作されたのは、位相シフト法という方式の採用で触れるだけで測定できるという新タイプの血圧計です。LEDから近赤外線を皮膚に照射し、その反射光の波形から血流量の変化を検出し、独自のアルゴリズムで血圧値を算出するというものです。専用のデバイスチップは1cm角程度で、これならリストバンド型や腕時計型など、ウェアラブルな連続測定血圧計として実現できそうです。

24時間モニタリングできるウェアラブルな血圧計も実現間近

シンプル構造でローコストな電磁誘導方式のワイヤレス充電

ウェアラブルなヘルスケア機器の最大の課題はバッテリ問題です。小型軽量化が必須要件であるウェアラブル機器に搭載できるバッテリの大きさには制限があります。そこで注目されているのがワイヤレス充電です。

ワイヤレス充電には電磁誘導方式、磁界共鳴方式など、さまざまな方式があります。古くから採用されているのは電磁誘導方式です。これは充電台の送電コイルで発生した交流の磁束を受電コイルで受け、その磁束を電力に変換する方式です。伝送可能な距離は10mm程度と短いものの、構造がシンプルなためローコストで実現でき、信頼性が高いのが特長です。WPC(ワイヤレス・パワー・コンソーシアム)が、スマートフォンなどのモバイル機器向けに策定したQi(チー)も、電磁誘導を利用したワイヤレス充電の規格です。

シンプル構造でローコストな電磁誘導方式のワイヤレス充電

ヘルスケア機器のワイヤレス充電に最適な小型・低出力の非接触給電システム

TDKでは、業界トップクラスの「薄さ」と「軽さ」に加え、耐衝撃性も確保した高い信頼性を誇るWPCに対応したワイヤレス給電用コイルユニットを提供しています。さらに、ウェアラブルなヘルスケア機器などに向けて、小型・低出力非接触給電コイルも開発を進めています。リストバンド型、腕時計型、指輪型、眼鏡型などの各種ウェアラブル機器にコンパクトに格納でき、充電台からのワイヤレス充電を可能にします。従来のヘルスケア機器はUSB端子などを通じて充電していましたが、端子が損傷しやすいという問題がありました。ワイヤレス充電はこの問題を解決するとともに、防水・防塵面でも大きなメリットとなります。

非接触給電用コイルにおいては、受電コイルの背面に磁気シールド性にすぐれた磁性シート(金属磁性シートなど)が配置されます。これはコイルの近くにバッテリケースなどの金属面があると、送電コイルから送られる高周波磁束によって発熱(うず電流によるジュール熱損失)を起こすからです。このためコイルとともに、磁性シートの設計はきわめて重要な技術となっています。TDKでは、耐衝撃性、柔軟性、薄型化などに適した高性能な磁性シートを各種取り揃え、送電コイル、受電コイル、ICモジュールなども含めたトータルソリューションとして提供しています。

ヘルスケア機器のワイヤレス充電に最適な小型・低出力の非接触給電システム

TDKの小型・低出力非接触給電システムは、ウェアラブル機器はじめ、バッテリタイプの小型種電子機器において、小さなボタン電池の面倒な交換作業を解放します。また、超音波検査器や心電図測定装置のプローブ(探触子)など、メディカル分野への応用も可能です。ワイヤレス化することで、プローブの可動範囲の向上や洗浄性の改善が図れます。

TDKではモバイル機器向けの中出力、ウェアラブル機器向けの低出力のほか、ノートパソコンなどのワイヤレス充電に最適な高出力の非接触給電用コイルの製品化も進め、ラインアップのさらなる充実を図っています。また、各種センサほか、フィルムタイプのフレキシブルな太陽電池EDLC(電気二重層コンデンサ)など、ウェアラブルなヘルスケア機器に応用できるさまざまな製品・技術を有しているのもTDKの強み。これからの展開にご期待ください。

登場人物紹介
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※記事の内容は、記事掲載時点での情報に基づいたものです。一部、現在TDKで扱っていない製品情報等も含まれております。

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