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ウェアラブル機器のバッテリソリューション

Vol.1ウェアラブル機器のバッテリソリューション

熱、光、振動、電波など、身の回りのエネルギーを収集して電力変換し、バッテリレスのデバイスを実現しようというのが、環境発電とも呼ばれるエネルギーハーベスティング(EH)技術。ウェアラブル機器やワイヤレスセンサネットワーク(WSN)などとも親和性が高く、さまざまな応用が期待されています。

バッテリ問題はウェアラブル機器の重要課題

腕時計型、リストバンド型、メガネ型など、さまざまなタイプが開発され、2015年頃から本格的な普及時代に突入するといわれているのがウェアラブル機器。ポスト・スマートフォンのICT機器などともいわれますが、スマートフォンに取って代わるわけではなく、スマートフォンと連携する小型端末で、パソコンや周辺機器、スマートテレビなどの家電機器の操作にも使用されるようになると予測されています。また、各種センサの搭載により、心拍数や血圧などのバイタルサインを無線でスマートフォンに送り、健康管理に役立てるなど、ヘルスケアやメディカル分野での活用が広がっています。

スマートフォンとの連携には無線通信技術が利用されますが、バッテリの持ちをよくするために、超省電力のBLE(Bluetooth Low Energy:低エネルギーBluetooth)が利用されます。BLEはBluetooth4.0に追加された低消費電力通信規格で、これに対応した機器は”Bluetooth SMART”、ハブとなるスマートフォンやタブレットなどの機器は、”Bluetooth SMART READY”と呼ばれます。 指輪型やペンダント型など、アクセサリタイプのウェアラブル機器も開発され、さらに、これからは生活用品、キッチン用品、文房具など、モノにも無線通信タグやセンサが搭載されてインターネットに接続される”モノのインターネット(IoT:Internet of Things)”が実現するといわれます。しかし、そのための大きな技術課題となっているのがバッテリ問題。超省電力のBLEに対応したウェアラブル機器でも、今のところ頻繁な充電が必要だからです。

一般的な乗用車に使われている電装品の一覧

バッテリ不要の電子デバイスが実現

ウェアラブル機器やワイヤレスセンサネットワーク(WSN)などのバッテリ問題のソリューションとして注目されるのが、環境発電とも呼ばれるエネルギーハーベスティング(EH)。熱、光、振動、電波など、身の回りのエネルギーを収穫(ハーベスト)し、これを電気エネルギーに変換して利用する技術です。

エネルギーハーベスティングは古くて新しい技術。20世紀初めに使われていた鉱石ラジオは、受信電波のエネルギーでイヤホンを鳴らすバッテリレスのラジオ受信機でした。また、フィルム太陽電池を利用したソーラー電卓やソーラー腕時計も、エネルギーハーベスティング機器です。近年、エネルギーハーベスティング技術が、また新たに注目されるようになったのは、低消費電力のICなどが開発されて、モバイル機器の補助電源やバッテリレスのセンサモジュールなどを実現する可能性が高まってきたからです。

太陽光/風力発電などの再生可能エネルギーと違って、エネルギーハーベスティングによる発電量はμW(10-6W)~mW(10-3W)オーダーにすぎませんが、この程度のエネルギーなら、身の回りにふんだんに存在します。また、センシング技術と無線技術と組み合わせることで、バッテリ交換や充電が不要のセンサネットワークシステムを構築することも可能になります。たとえば人感センサを利用すれば、照明や空調の自動制御もでき、スマートビルやスマートハウスのエネルギー管理システムを支える重要テクノロジーとなります。電源が確保できなかったり、人が近づけない過酷な環境でのセンシングなどへの応用も期待されています。

新しい形のハイブリッド・パワーユニット
エネルギーハーベスティングの発電量と主な用途

ワイヤレスセンサネットワークに向けた無線センサモジュール

エネルギーハーベスティングを利用したバッテリレスの無線センサモジュールの回路構成例を以下に示します。熱や振動などのエネルギーは、ハーベスタにより環境から収集して電力に変換します。ハーベスタには、熱を電気に変換するゼーベック素子、圧力を電圧に変換する圧電素子(圧電着火素子は圧電効果を利用、圧電ブザー、圧電アクチュエータなどは逆圧電効果を利用したデバイスです)などが利用されます。しかし、環境からのエネルギーは不安定なので、これを電源制御回路で昇圧(あるいは降圧)・安定化して、EDLC(電気二重層キャパシタ)やリチウムイオンポリマー電池などに蓄電します。また、気圧センサや温度センサなど各種センサから得られる環境情報はマイコン処理して無線トランシーバ/アンテナにより送信します。

エネルギーハーベスティングを利用したバッテリレスの無線センサモジュールの回路構成例

高機能の小型モジュールを実現するTDKのSESUB(セサブ)技術

無線センサモジュールやウェアラブル機器には高効率化とともに小型化が求められます。しかし、従来の工法では、これ以上、小型化するのが困難になっています。そこで、これまでのように基板の上に電子部品を実装するのではなく、基板内部に電子部品を埋め込む技術が注目されています。TDKではウェアラブル機器やエネルギーハーベスティング機器などに向けて、独自のIC内蔵基板"SESUB(セサブ)"技術による各種の小型モジュール(SESUBモジュール)を製品化しています。これは厚さわずか0.3mmの多層基板の中に、薄く研削したICチップ(ベアチップ)を埋め込む技術です。また、TDKでは超薄型でフレキシブルな基板内蔵用コンデンサ(TFCP)も新開発しました。

2014年からのF1エンジンに使われるMGU-H

ウェアラブル機器やエネルギーハーベスティング機器は、最先端のさまざまな要素技術のインテグレートによって実現するエレクトロニクスの新領域。積層セラミックチップコンデンサをはじめとする小型電子部品はもとより、HDDヘッドの製造で培った薄膜テクノロジーによる薄膜デバイス、MEMS(微小電気機械システム)技術によるMEMS圧力センサなどの各種センサ、さらにはパワーエレクトロニクス技術を活かした小型・高効率DC-DCコンバータや、高性能フェライトを利用した非接触給電システムなど、素材技術をベースとするTDKのコアテクノロジーと多種多様な製品が大きく貢献します。

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※記事の内容は、記事掲載時点での情報に基づいたものです。一部、現在TDKで扱っていない製品情報等も含まれております。

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