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第188回 プラグイン・ハイブリッドと進化する電気自動車 〜HEVの元祖、レンジエクステンダー〜

器用なPHEVとHEVの元祖であるLEEV

 PHEVは、そのようなBEVのジレンマを解消するための技術です。普段は「ゲタ代わり」として、せいぜい一日あたり50km程度しか走行しないが、たまに長距離も走る、といった用途には最適な形態かもしれません。「普段はEVとして使え、いざとなったら一般的なHEVに変身するクルマ」と考えてもいいでしょう。

 トヨタ自動車が、2012年1月31日から一般向けに販売を開始したPHEV「プリウスPHV」は、通常のプリウスに80kg分のリチウムイオンバッテリを増設し、走行用バッテリ容量を通常型プリウスの3.3倍となる4.4kW/hにまで増やしました。これによって、EV走行可能距離を公称26.4kmにまで伸ばしています。実走行では6〜7割程度にまで悪化するとしても、普段の一日あたり走行距離が15km程度なら電気だけで走行できる計算になりますし、それより長い距離を走るとしても、消費するガソリンの量は確実に減らせます。バッテリの技術が進化してより高密度化と低コスト化が進めば、より販売台数の多いクラスへの転用が期待でき、そうなれば、社会全体で消費するガソリンの量を飛躍的に削減できるはずです。


 一方、GMがシボレー・ボルトを発売したことで話題となったのがLEEVで、「エンジンとモータの両方を搭載しているが、駆動はモータだけで行う」タイプのHEVを指します。従来は「シリーズHEV」と呼ばれていましたが、最近はより実態に即しているという見地からLEEVと呼ばれるケースが増えてきました。

 なぜ、エンジンの力を駆動に使わないのかというと、LEEVは「BEVの航続距離を伸ばすための仕組み」として考案されたからです。一般的な自動車用エンジンは、停止から発進、急加速、高速走行といった、さまざまな走行シーンに対応する必要があり、そのために多彩な技術が投入されています。しかし、実はこのような「さまざまな状態への対応」は、エンジンにとって最も過酷な条件で、そのために燃費が悪化していると言っても過言ではありません。エンジンの効率が最も高まるのは、一定の回転数を保ったままで運転する「定常状態」で、高速道路を一定速度で走ると燃費が良くなるのはそのせいです。

 前述のとおり、LEEVはもともとが「BEV」であって、最大の弱点である航続距離を伸ばすために「発電機としてのエンジン」を搭載したものです。ガソリンなどの液体燃料は、電気やガスなど他のエネルギーソースに比べて、体積もしくは重量あたりで発生できるエネルギーの量がケタ違いに大きく、また現状でもインフラ整備が十分に進められていることから、BEVの航続距離延長に有効な手段として考案されました。定常運転が前提なら、エンジンの排気量は通常よりもずっと小さくて済みますし、複雑なメカニズムや制御も不要なので、コスト面でも大幅な低減が可能になります。

 余談ですが、実はLEEVはいわゆるHEVの元祖でもあります。1901年、オーストリア・ハンガリー帝国のローナー宮廷馬車製造工場が発売した「Semper Vivus」という電気自動車は、航続距離を伸ばすために発電用エンジンを搭載していました。そしてこのクルマを設計したのが、若き日のフェルディナント・ポルシェ博士であることは有名な史実です。

 自動車の燃費は、これから先もどんどん改善されていきます。そのためのキーデバイスとして、モータとバッテリの重要性は高まる一方です。HEVに関しては、新しいアプローチの技術もいくつか開発中で、特に小さなクルマに対しては現状のシステムよりも向いているのではないかと思われるものがいくつか存在するのですが、それらについては機会を改めての紹介とさせてください。


著者プロフィール:松田勇治(マツダユウジ)
1964年東京都出身。青山学院大学法学部卒業。在学中よりフリーランスライター/エディターとして活動。
卒業後、雑誌編集部勤務を経て独立。
現在はMotorFan illustrated誌、日経トレンディネットなどに執筆。
著書/共著書/編集協力書
「手にとるようにWindows用語がわかる本」「手にとるようにパソコン用語がわかる本 2004年版」(かんき出版)
「記録型DVD完全マスター2003」「買う!録る!楽しむ!HDD&DVDレコーダー」「PC自作の鉄則!2005」(日経BP社)
「図解雑学・量子コンピュータ」「最新!自動車エンジン技術がわかる本」(ナツメ社)など


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