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第182回 電子書籍の国際標準規格 〜DAISYを知る〜

 Apple社の「iPad」に代表されるタブレットPCや、「iPhone」などのスマートフォンに期待されている役割の一つに、「電子書籍」の閲覧機能があります。日本ではなかなか本格的な普及段階に入らない電子書籍ですが、その効能について幅広い分野から期待が持たれていることは事実です。今回は、その一つである「DAISY」について取り上げたいと思います。

日本も発足当初から参加した規格
 DAISYは、「Digital Accessible Information System」の頭文字を取った略称で、「デイジー」と読みます。デジタル録音図書に関する国際標準規格の一つで、日本語では「アクセシブルな情報システム」や「誰でも使える情報システム」などと訳されています。規格の策定と普及促進を図る国際機関「DAISYコンソーシアム」は、1996年5月に日本、スウェーデン、イギリス、スイス、オランダ、スペインの6カ国の参加によって結成されました。

 日本は、都市部近郊の公共交通機関が高度に発達し、通勤・通学に電車やバスを利用する人が多く、その間を利用して読書をすることが習慣化してきました。しかし、海外では移動に自動車を利用することが基本となっている国が少なくありません。その車中で、運転中に「読書」したいという要求から、書籍の内容を音読して録音した「オーディオブック(録音図書)」が登場しました。その昔は、供給メディアが主にカセットテープだったことで「カセットブック」とも呼ばれていたオーディオブックは、特にアメリカでは大きな市場を形成し、人気作家の新刊本はオーディオブックが同時出版されることが少なくありません。

 そしてオーディオブックは、視覚障碍(障害)者が「読書」や「学習」の機会を確保するための道具としても、非常に有効です。全盲や弱視の方は、大昔は「点字本」しか読書する手段がなかったわけですが、オーディオブックによって「読書のバリアフリー化」が進むことになりました。また、学習障碍*1を持つ児童・生徒を支援するツールとしても有効に機能しますし、加齢などによる身体能力の低下で「読む」という作業の負担が大きくなっている方や、さまざまな理由から本を手に持って読むことが困難な方などを支援するツールともなってきました。

*1:文部科学省では、「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すもの」と定義しています。




録音と記録メディアの変遷とDAISY規格の種類
 録音と記録メディアのデジタル化が進むと、録音図書にもデジタル化の波が訪れます。カセットテープでは、長年の使用によってテープが伸びたり、切れてしまう、音質が劣化するといった難点がありましたが、記録メディアをCDとすることで、そのようなトラブルからは開放されました。

 また、パソコンの普及と処理能力の高度化によって、音声や画像が扱えるようになると、それらを一体化して扱う「マルチメディアコンテンツ」が普及の兆しを見せます。そして、DAISYコンソーシアムが設立された1996年といえば、まさに「マルチメディア」に熱い期待が寄せられていた時期です。デジタル技術を駆使することによって、たとえばディスレクシア(難読症)*2などのハンディキャップを背負っている人でも、「見る」「聞く」「指先で読む」のいずれかが可能なら読書を楽しめるように、コンテンツの構造を工夫しようというのが、DAISYの根底にある発想です。

*2:学習障碍のうち、文字の読み書き学習に著しい困難を抱えるもの。

 DAISY規格による書籍には、大別すると3種類があります。
 まず、書籍の内容を音読した音声ファイル「DAISY録音図書」。これはオーディオブックの供給媒体がCD-ROMになったものと考えてかまいませんが、音声ファイルが構造化されているので、マーカーとなる章や見出しへ自在にジャンプして再生する、といったことが可能になっています。

 次に、「マークアップ構造」を持つテキストファイルの「テキストDAISY」があります。マークアップ構造とは、文書の内容そのものに加えて、見出しや段落といった文書の構造や、文字サイズなどの見栄えを「タグ」で指定したテキストファイルのことで、今、みなさんがご覧になっているこのウェブページも、その一種であるHTML(HyperText Markup Language)で記述されています。
 テキストDAISYは、HTMLやXHTML(Extensible HyperText Markup Language。もともと『SGML』規格で定義されていたHTMLを、『XML』規格の文法で定義しなおしたもの)という規格に沿った記述を行い、テキスト読み上げ装置やソフトウェアを用いることで、内容の音声による再生を可能としたものです。

 最後は「マルチメディアDAISY」です。DAISY録音図書とテキストDAISYを融合させたもので、テキスト内のマーキングに音声の時間情報や画像を同期させる「同期化ファイル」と「コントロールファイル」を用いることで、常に文字情報と音声が同期しながら再生されます。
 しかも、テキストと音声(ならびに画像)の同期を維持しながら、ファイル間をスムーズに移動できるようにするナビゲーションコントロール機能も備えているので、たとえば、各章の見出しだけを一覧で読んだり、必要と思われる章を呼び出して読む、特定のキーワードを用いている部分を検索して読むといったことが可能になります。

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