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 トップページ電気と磁気の?(はてな)館 > No.52 マグネットの着磁と消磁
電気と磁気の?(はてな)館

マグネットの着磁と消磁

プラスチックボンド磁石と多極着磁により小型・薄型の高性能モータが実現
 工業生産される磁石は、生まれながらに磁気を帯びているわけではありません。まず磁石材料として生産されてから、着磁機という装置に入れられ、強力な磁界が加えられることによって、はじめて磁化されて磁石となります。
 最も単純な着磁機はソレノイドコイル(筒型コイル)を用いたものです。コイルの中に磁石材料を入れ、コイルに電流を流すと、コイルが発生する磁界によって磁石材料が着磁されます。コイルに直流電流を流してもよいのですが、着磁は短時間ですむので、直流電流を流しっぱなしにするのは電力のムダです。そこで、一般に大容量コンデンサに電荷を蓄え、瞬間的にコイルに放電して、強い磁界を発生させています。これはデジタルカメラにおいて、内蔵されたアルミ電解コンデンサに蓄えた電荷を、いっきに放電させてストロボ発光させるのと似ています。しかし、着磁機にはそれよりはるかに大きい電流(数kA〜10kA以上)が必要なので、数百〜数万μF(マイクロファラド)もの大容量のコンデンサ(オイルコンデンサやケミカルコンデンサ)が使われます。
 家電機器などでも使われる小型ブラシレスモータのマグネットは、複雑なパターンで着磁されています。たとえば、DVDレコーダやパソコンのHDD(ハードディスクドライブ)では、ディスクを高速回転させてヘッドから情報を読み書きします。この高速回転にはスピンドルモータと呼ばれる薄型モータが使われます。スピンドルモータにも、いろいろなタイプがありますが、その1つがアウターロータ式のブラシレスモータです。歯車状の突極をもつ電磁石を固定子(ステータ)とし、それを取り巻くように置かれたリング磁石がロータとともに回転します。リング磁石は多極着磁されているので滑らかで安定した回転が得られるのです。このような多極磁石は、着磁パターンに応じた専用のヨークを装着させて着磁されます。
 DVDやHDDのスピンドルモータ用のリング磁石は、プラスチックに磁石粉末(強力なネオジム磁石など)を混ぜて成形したボンド磁石が用いられます。プラスチックと混ぜるために、磁力は低下しますが、複雑形状や薄肉形状など、自由かつ高精度な成形ができるのが特長。専用ヨークの多極着磁により、小型・薄型の高性能モータが身の回りの機器でも多用されるようになりました。

着磁機(コンデンサ式)の基本原理

リング磁石への多極着磁の例(4極内周面着磁)

スピンドルモータの例(アウターロータ型)

VTRの消去ヘッドなどにも使われる交流消磁の原理
 着磁された磁石を元の磁気に帯びていない状態に戻すことを消磁あるいは脱磁といいます。最も簡単な消磁法は熱消磁です。磁石材料が外部磁界によって磁石となるのは、内部の多数のミニ磁石が磁極方向をそろえるからです。しかし、ある温度(キュリー温度)以上に加熱すると、ミニ磁石の方向がバラバラとなり、全体として消磁状態になります。灼熱状態の鉄は磁石に吸いつかないのも同じ理由によるものです。
 テープレコーダやVTRでは、交流消磁という方法で磁気テープ上の記録信号を消去します。これは、テープ上の磁性粉が磁気飽和するほど十分に大きな交流電流を、消去ヘッドのコイルに流すことで実行されます。交流電流によって磁気ヘッドから発生する交流磁界は、テープ上の磁性粉の磁極の向きを反転させます。しかし、テープの走行とともに、ヘッドからの交流磁界の強さは小さくなっていくので、磁性粉の磁化も反転を繰り返しながら減衰し、ついには元の未磁化状態に戻るのです。
 交流消磁は商用交流を用いて実験することもできます。プラスチックパイプなどにコイルを巻き、スライダック(商用交流の100Vの電圧を0〜130V程度に可変できる変圧器)とつなぎ、コイルの中に消磁したい磁石を入れます。スライダックの目盛りを20〜30V程度にしてプラグをコンセントに差し込み、スライダックのダイヤルをゆっくりゼロへと回していきます。そうするとコイルには商用交流の周波数で(50Hz/60Hz)で反転する磁界が発生し、それが徐々に弱まっていくので、消去ヘッドの交流消磁と同じ原理で消磁されます。
 消磁機には交流電流を流すのではなく、コンデンサとコイルの共振現象を利用したタイプもあります。コンデンサに蓄えられた電荷がコイルに放電されると、コイルはそれを妨げる向きに電流を発生させます。この電流はコンデンサを充電し、再びコンデンサは放電するという作用を繰り返します。これがコンデンサとコイルの共振現象です。コイルなどの電気抵抗により、共振は自然と減衰していくので、交流消磁と同じ理屈で未磁化状態に戻すことができるのです。
 ドライバーを磁石に吸いつけると、ドライバーは磁化を残して磁石となります。これは小さな鉄ネジを吸いつけて拾うのに便利ですが、ネジが磁化すると不都合なことも生じます。消磁機はこうした鉄製の工具や部品の磁化を消すためにも使われています。

テープレコーダの消去ヘッドの交流消去の原理

スライダックを用いた簡便な消磁機

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