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 トップページ電気と磁気の?(はてな)館 > No.21 太陽電池のニューフェイス
電気と磁気の?(はてな)館

太陽電池のニューフェイス

オプトエレクトロニクスが巧みに利用されたガーデン・ソーラーライト
 CdSセルのように光の照射によって電気抵抗値が変わる光導電効果に対して、光エネルギーを直接、電気エネルギーに変換する現象を光起電力効果といいます。光起電力効果が初めて発見されたのは1839年。フランスの物理学者エドモンド・ベクレル(放射線研究のベクレルとは別人物)が、電解液に浸した1対の金属電極の片方に光を照射したとき、電流が流れることに気づいたことに始まります。これが太陽電池のルーツともいえますが、シリコン半導体を用いた実用的な太陽電池が開発されたのは、それから1世紀以上を経た1950年代のことです。
 シリコン太陽電池はP型シリコンとN型シリコンからなるPN接合の半導体です。光が照射すると電子(−)と正孔(+)が発生し、電子はN型シリコンへ、正孔はP型シリコンへと引き寄せられて起電力が発生します。これが太陽電池の基本原理で、半導体材料としては単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどが用いられます。
 太陽電池は発電素子であり、それ自身に電気を溜めこむ性質はありません。そこで、ガーデン・ソーラーライトは内部に充電池を内蔵しています。ガーデン・ソーラーライトの回路例を下図に示します。充電池には1.2Vのニッケル・カドミウム電池、発光素子には白色LEDが用いられています。白色LEDの点灯には約3Vの電圧が必要なので、トランジスタを用いた昇圧回路によって電圧を上げています。発光素子であるLEDもまたPN接合の半導体素子。ガーデン・ソーラーライトは簡単なしくみながら、オプトエレクトロニクス技術がたくみに組み合わされているのです。

CdSセルの構造

シリコン太陽電池の原理 LEDの原理

ソーラー・ガーデンライトの基本回路

植物の光合成にも似たしくみの色素増感型太陽電池
 最近、太陽電池のニューフェイスとして色素増感型と呼ばれる太陽電池が注目を集めています。植物は葉緑素が太陽光を吸収し、そのエネルギーにより光合成をおこないます。色素増感型太陽電池はこの光合成のしくみと似ています。特殊な色素を吸着させた多孔質材料(酸化チタンなど)を、透明電極をつけた2枚のガラス基板ではさみ、ヨウ素を溶かした電解液を注入したのが色素増感型太陽電池の基本構造です。光が当たると、色素が陽イオンとなって電子を放出し、電極に達して電流となります。電子はもう一方の電極から電解液のヨウ素イオンと結びつき(還元反応)、さらに酸化されて電子を放出。その電子は色素の陽イオンと結合して、色素を元の状態に戻します。このサイクルを繰り返すのが色素増感型太陽電池です。
 色素増感型太陽電池はシリコン太陽電池よりも変換効率は低いものの、安価に量産でき、また色素の選び方により赤、緑、青などのカラフルな太陽電池も実現するといった特長をもちます。TDKではCD-RやDVD-Rなどの製造で培った色素技術を生かすとともに、多孔質材料として酸化亜鉛を採用、実用化に向けた研究を進めています。酸化チタンは高温焼成を必要としますが、酸化亜鉛は低温プロセスで実現できるため、プラスチック基板の採用も可能にします。
 カラフルでフレキシブルな色素増感型太陽電池が実用化されると、屋根材や外壁などに貼りつけたり、自由形状に切断して工作に用いたり、DIY感覚で太陽電池が活用できるようになるでしょう。石油、石炭といった化石燃料は、光合成によって育った太古の植物の化石。いわば太古の太陽エネルギーの缶詰のようなもの。植物を見習うことで、色素増感型太陽電池の変換効率もぐんぐん向上していくにちがいありません。

色素増感型太陽電池の構造

色素増感型太陽電池の反応のしくみ

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