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| ■ オームの法則の発見に貢献した熱電対 |
熱電対の原理であるゼーベック効果が発見されたのは、エルステッドによる電流の磁気作用の実験の翌年です(1821年)。当時、電気現象の実験には、亜鉛と銅の電極を希硫酸に浸したボルタ電池が使われていました。ゼーベックは2種の金属を液体に浸さなくても、接触させるだけで電流が生ずるのではないか考えて、銅板のコイルとビスマス(またはアンチモン)、磁針による実験装置を製作しました(図A)。
銅とビスマスをただ接触させただけでは電流は流れませんが、ゼーベックにとって幸いしたのは、銅とビスマスを接触させるために指で押さえつけたことです。このときかすかながら磁針が振れることに気づいたのです。しかし、指を使わずにガラス棒などで押さえると磁針は動きません。そこで、ゼーベックは接触部に指の熱が加わったことが関係していると考え、銅板とビスマス板をハンダ接合して輪にした有名な実験装置を考案しました(図B)。アルコールランプで接合部の片方を熱すると、輪に電流が流れて磁針が振れます。ゼーベックはまた接合部の片方を冷却することでも、逆方向の電流が流れることを発見しました。
熱電対の特徴は2か所の接合部の温度差を一定に保てば、きわめて安定した電圧が得られることです。この熱電対によって電気の基本法則である“オームの法則”が発見されました。
オームは同じ太さの銅線の長さをいろいろ変えて回路につないだとき(つまり抵抗値を変えたとき)、電流の大きさがどのように変わるかを調べました(磁針の振れの大きさとして測定)。ところが、ボルタ電池では電圧が一定していないために、満足なデータが得られません。そこで、彼はボルタ電池のかわりにゼーベックの熱電対を使うことにしたのです。オームは熱電対の片方を沸騰水の100℃、もう片方を氷水の0℃とすることで温度差を一定に保ち、きわめて安定した電圧を得ることができました(図C)。この装置による実験データから、「電流=電圧/抵抗」というオームの法則が発見されたのです(1826年)。
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