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| ■ 電磁誘導現象はなぜすぐに発見できなかったのか? |
化学者デービーの助手として採用され、念願の化学実験家となったファラデーは、電気・磁気現象にも、なみなみならぬ関心を寄せていたようです。エルステッドによる「電流の磁気作用」の発見の翌年(1821年)、ファラデーは有名な電磁気回転の実験に成功しています。これは、水銀を満たしたカップの片方に可動式の磁石、もう片方に可動式の針金を取り付け、ボルタ電池から電流を流すことにより連続回転させる装置です。これは初の電気モータといえるものですが、当時はまだ電磁誘導現象が発見される前だったので、現象の理論的解明も応用も進みませんでした。
ファラデーによって電磁誘導現象が発見されるのは、この電磁気回転の実験から10年後の1831年のことです。中学校の理科の教科書などには、空心の円筒形コイル(ソレノイドコイル)に向かって磁石を出し入れすると、コイルに起電力が発生して誘導電流が流れるという図が、電磁誘導の法則の説明とともに載っています。しかし、ファラデーはいきなりこの実験を思いついたわけではありません。彼の日記には、電磁誘導を発見するまでの悪戦苦闘ぶりをしのばせるさまざまな実験が記されています。
ファラデーが最初に成功したのは鉄製の輪に2つのコイルを巻き、片方に電流を流すと、もう片方のコイルに起電力が発生するという実験でした。これはトランスの原理と同じです(下図(1))。続いてファラデーはコイルを巻いた鉄心を棒磁石ではさむ装置を製作し、棒磁石を動かすことによりコイルに起電力が発生することを確認しました(下図(2))。これらの発見に続いて考案されたのが、空心の円筒形コイルに棒磁石を出し入れするという実験だったのです(下図(3))。
エルステッドによる電流の磁気作用の発見後、すぐに電磁誘導の発見には至らなかったのは、そのころの磁石の磁力は弱く、電流計の感度も低かったことが関係しています。また、当時は磁石からは目に見えないエネルギーのようなものが放射され、それが電気を生み出すにちがいないと考えられていたようです。しかし、磁石がつくるのは磁界であり、磁界はエネルギーではありません。外部からの力によって磁界を変化させたときに、コイルに起電力が生まれることは、ファラデーの粘り強い実験と観察によって、初めて突き止められたのです。
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