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| ■ 磁性のハード/ソフトは材料の微細構造が関係する |
前号でご紹介したように、磁性材料はその性質から、外部磁界を加えると永久磁石となる「硬磁性(ハード磁性)材料」と、外部磁界によって一時的に磁石となる「軟磁性(ソフト磁性)材料」に大別されます。面白いことに硬磁性/軟磁性という磁気的な硬軟は、鉄においては物理的な硬さ・軟らかさとも対応しています。たとえば刃物や工具などの鋼に磁石をこすりつけると、鋼は磁化されて、それ自身が磁石となります。このように鋼は硬磁性を示しますが、赤熱してからゆっくりと冷やす“焼きなまし”の処理をすると軟磁性に近づき、それとともに硬さも失って、切れ味が悪くなります。これは、金属組織(鋼相)の変化によるものです。
焼きなまし処理された刃物は、再び赤熱してから、水に漬けて急冷すると、金属組織が変化して硬さを取り戻します。日本刀づくりなどでよく知られるこの処理を“焼き入れ”といいます。1917年、従来材料をしのぐ強力な磁石鋼として、本多光太郎博士が発明したKS鋼は、この焼き入れ処理によって、磁気的性質を大きく高めた磁石材料です。
磁性材料は金属系と酸化物系に分けられます。酸化物系の磁性材料の代表がフェライトです。鉄や鋼と同様に、フェライトの磁気的なハード/ソフトも、微細組織のあり方が関係してきます。しかし、フェライトが鉄や鋼などの金属系の磁性材料と決定的に違うのは、きわめて高い電気抵抗値をもつということです。
フェライトは、主原料である酸化鉄に他の金属酸化物や微量添加物を加えた粉末原料を、混合・成型・焼成してつくられる磁性セラミックスです。焼成工程で原料は固溶して、微細な結晶粒が集合した多結晶体となります。結晶粒どうしの境界は粒界(りゅうかい)と呼ばれます。多結晶体であるフェライトは、この三次元網目状の高抵抗の粒界によって、絶縁物に近い高い電気抵抗値を示します。また、微量添加物などの多くはこの粒界に集まります(偏析)。このため、粒界はフェライトの特性にとって、きわめて重要な役割をはたします。
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