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 トップページ過去の読み物なるほどノイズ(EMC)入門2 > 第1回 ユビキタス時代に向けたノイズ対策技術
なるほどノイズ(EMC)入門2

ユビキタス時代に向けたノイズ対策技術

 エレクトロニクス社会の発展に避けて通れないノイズ問題。今号からスタートする本シリーズは、好評を博した「なるほどノイズ(EMC)入門」の続編。さまざまなノイズ問題とその対策について、具体例などをまじえながら、わかりやすくご紹介していきます。ノイズ問題は時代とともに変化を遂げています。今号はプロローグとして、ユビキタス社会に向けたノイズ規制と最新の技術動向を探ってみました。

EMC技術なくしてエレクトロニクス社会は成り立たない
 電子機器のノイズ問題がクローズアップされたのは、マイクロエレクトロニクスの草創期である1960年代です。それまでノイズ問題というのは、無線通信が干渉や妨害を受けたり、ラジオやテレビの受信障害といったRFI(無線周波干渉)がメイン。加害者と被害者が比較的はっきりしていて、ノイズの発生源もかぎられていました。ところが、トランジスタやICを利用した電子機器が広く普及すると、ノイズ問題は社会全体に拡大。電子機器はノイズの被害を受けるだけでなく、自らもノイズの発生源となっていることが問題化してきました。さらにデジタル技術が急発展した1980年代には、オートマ車が急停車・急発進したり、電車のドアがいきなり全開したり、産業ロボットが人身事故を起こしたりなど、電子回路の誤動作によるトラブルが頻発するようになりました。
 そこでRFIを発展させたEMI(電磁妨害=エミッション問題)に加えて、EMS(電磁妨害感受性=イミュニティ問題)という概念が生まれました。このEMIとEMSの双方を両立させようというのがEMC(電磁的両立性)。つまり、「他のシステムにノイズ障害を与えず」かつ「他のシステムからノイズの影響を受けず」という考え方にもとづくのがEMCです。

EMCが目指すのはEMIとEMSの両立

ノイズ規制は世界的に厳しさを増している
 ノイズ問題は一種の環境問題です。電磁エネルギーであるノイズに国境はなく、ノイズ対策をほどこしていない製品が輸出されれば、越境公害のように相手国にノイズ被害が広がります。そこで、ノイズの発生と被害を最小限にとどめるため、IEC(国際電気標準会議)やその下部機構であるCISPR(国際無線障害特別委員会)などにより国際的な規制が設けられています(EMCに関する規格は、国際規格、地域規格、各国規格に分類され、WTO/TBT(貿易の技術的障壁に関する協定)では、各国規格の整合を図るために、国際規格に整合(ハーモナイズ)させることを勧告している)。
 日本のVCCI(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)は、1985年のCISPR勧告に応じて、コンピュータなどのITE(情報技術装置)や複写機・ファクシミリなどを規制対象として関連業界が設けた自主規制です。テレビやラジオ、VTRといった機器は電気用品取締法、携帯電話などの低電力通信機器は電波法の規制対象機器にもなっています。
 ノイズ規制がとくに厳しいのは欧州です。1994年にEUとして統合した欧州では、EMC指令などの要件を満たした製品にのみ、CEマーキング(CEマークの添付)が許され、CEマーキングのない製品はEU域内の流通・販売が法律によって禁じられています。当然ながら、CEマーキングのない製品はEU域内に輸出することもできません。
 パソコンをはじめとするITE(情報技術装置)については、これまで30MHz〜1GHzの放射ノイズが規制対象となっていましたが、CISPRではこれを6GHzまで拡張することを決定、まもなく規制が始まります。しかし、複雑なノイズ規制を国際的に統一することは、各国の利害などもからむため、簡単には実現しません。また、審議にも時間がかかるため、めまぐるしいスピードで高機能化・多機能化を遂げる電子機器にノイズ規制のほうが追いつかないというのが現状です。

EMCに関する主な国際審議機関

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