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インダクタ編 No.3「インダクタの種類と製法」
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インダクタ編 No.2「インダクタの基礎知識②」

■直流に対するインダクタの働き

< コイルの過渡応答 >

コイル(インダクタ)は自己誘導作用により、電流変化を妨げる方向に起電力(誘導起電力)を発生します。このため、コイルに電圧を加えてもすぐに電流が流れず、また電圧を取り去ってもすぐに電流はなくなりません。スイッチON時やOFF時などにおける非定常的な電流や電圧の変化のことを、コイルの過渡応答(過渡現象)といいます。
たとえば、コイルとネオンランプ(放電開始電圧は数10V以上)を並列接続した以下のような回路において、乾電池(数V程度)のスイッチを入れても、ネオンランプは点灯しません。しかし、コイルに電流を流した状態からスイッチを切ると、ネオンランプは点灯します。自己誘導作用によりコイルに発生する起電力(V)は、電流の変化率(ΔI /Δt)に比例します。スイッチON時は、徐々に電流が増大するので起電力は電源電圧以上に高くなりません。しかし、スイッチOFF時は、流れている電流が瞬時に切られるため、電流の変化率が大きくなり、ネオンランプを点灯させるような高い起電力が発生するのです。
コイルの過渡応答

< コイルが蓄えるエネルギー >

上記の回路でネオンランプが点灯するのは、コイルがエネルギーを蓄えるからです。このエネルギーはコイルのインダクタンスと流れる電流の2乗に比例します。スイッチOFFすると、蓄えられたエネルギーが瞬時に放出されるので高い起電力が生まれます。
コイルが蓄えるエネルギー

■交流に対するコイルの働き

< 誘導性リアクタンス(XL) >

コイル(インダクタ)は直流をスムーズに流しますが、交流に対しては抵抗のように作用し、また周波数が高くなるほど通しにくくする性質があります。これをコイルの誘導性リアクタンス(XL)といい、交流周波数(f)、インダクタンス(L)との間に、次のような関係があります。
誘導性リアクタンス(XL)
誘導性リアクタンス(XL)

< コイルがある交流回路の電圧波形と電流波形 >

商用交流は正弦波(sin波)の波形をもつ交流です。コイルを交流電源に接続すると、自己誘導作用により電流変化を妨げる向きに、コイルに起電力が発生します。このため、電圧の変化に対する電流の変化は、以下のように90°(1/4周期)遅れた波形となります。
コイルがある交流回路の電圧波形と電流波形

■コアの磁化と透磁率

< 磁化曲線と磁気飽和 >

コイルが発生する磁束(Φ)は、インダクタンス(L)と流れる電流(I)に比例します。また、インダクタンスは透磁率に比例するので、高透磁率の磁性体をコアに用い、大きな電流を流すほど、より多くの磁束が発生することになります。しかし、磁性体が磁束を集める能力には限界があり、電流を大きくしていくと、やがてコアは磁気飽和状態となります。このときの磁束密度(B)を最大磁束密度(Bm)といいます。

< コアの磁化過程と透磁率の変化 >

コアの磁化に伴い、コアの透磁率も変化します。透磁率(μ)は以下のグラフのように、コアの磁化曲線の傾き(θ)で表され、原点近くの初磁化曲線の傾きは、とくに初透磁率(μ0)といいます。一般に透磁率と呼ばれるのは、この初透磁率のことで、フェライト材のカタログに載っているのもこの数値です。
コイルに流す電流を大きくして、磁化の強さを高めると、透磁率も上昇してやがて極大値となります。これを最大透磁率(μm)といい、その後、透磁率は減少に転じて小さくなっていきます。

コアの磁化過程と透磁率の変化

< コアの渦電流損失 >

交流電流をコイルに流すと、発生する磁束の変化を妨げるように起電力が発生してコアに同心円状の電流が流れます。これを渦電流といい、RI2 (R :抵抗、I :電流)の電力がジュール熱となって奪われます。これを渦電流損失といいます。金属系コアは電気抵抗が低いため、渦電流損失も大きくなります。電源トランスのコアに、成層鉄芯が用いられるのは渦電流損失を小さくする工夫です。しかし、高周波になると、渦電流損失は大きくなり、発熱も大きくなってしまいます。フェライトは固有抵抗が高いため、渦電流損失が小さく、高周波コイルや高周波トランスなどのコアとして多用されます。
コアの渦電流損失

エレクトロニクス入門
※記事の内容は、記事掲載時点での情報に基づいたものです。一部、現在TDKで扱っていない製品情報等も含まれております。

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