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 トップページアースサイエンス&TDKテクノロジー > 第4回 自然エネルギー発電システムとフェライト
アースサイエンス&TDKテクノロジー

[第4回 自然エネルギー発電システムとフェライト]
活動する地球の“モノづくり力”

金属資源としてほぼ無尽蔵ともいえるのは鉄だ。地球でも宇宙でも、ごくありふれた元素でありながら、鉄は実に不思議な性質をもっている。フェライトが無限の可能性を秘めた磁性材料といわれるのも、鉄原子の特異な振る舞いによるものだ。
灼熱の鉄を核にもつ地球は溶鉱炉にも似ている
 地球は核(コア)、マントル、地殻という層状の構造となっている。卵にたとえれば、黄身が核、白身がマントル、薄い殻が地殻だ。核の主成分は鉄(一部はニッケル)で、高温・高圧により中心部(内核)は固体化しているが、外側(外核)は溶融状態と推定されている。地球は灼熱の鉄を内部にかかえた溶鉱炉のような惑星なのだ。
 溶鉱炉というのは鉱石を熱によって溶かして製錬する炉である。製鉄所に建設される耐火レンガづくりの溶鉱炉は、その巨大さから特に“高炉”と呼ばれる。頂部から石灰石(溶融剤)を混ぜた鉄鉱石と燃料のコークスを交互に投入し、高炉の側面から熱風を送って加熱する。鉄鉱石の主成分は酸化鉄なので、まず鉄に結びついた酸素を分離する必要がある。コークスは燃焼して鉄鉱石を溶かすとともに、酸化鉄を還元する役目を果たす。コークス中の炭素は加熱により一酸化炭素(CO)ガスとなり、それが酸化鉄から酸素を奪い、二酸化炭素(CO2)ガスとなって除去されるのだ。
 鉄鉱石の岩石分は石灰石と溶け合ってスラグとなり、高温・液状となった鉄は底部にたまる。これが溶銑(溶けた銑鉄)である。銑鉄は炭素成分が多いので、冷やしてもそのままでは鋼(スチール)にならない。そこで、溶銑を転炉に移し、酸素を送り込んで炭素分を酸化して除去する。このとき酸化反応によって熱が放出されるので、溶銑は冷えて固まることはない。
 こうして製造されるのが鋼(スチール)だ。高炉の火が消えると、溶けた鉄が固まり、再溶融するのが困難になる。このため、いったん火入れされた高炉は、何年も昼夜休みなく稼動される。では、誕生後約46億年もたつのに、なぜ地球の核が冷えて固まらないのか?これは地球内部の岩石に含まれる放射性同位体の崩壊熱が供給されているからと考えられている。



“天然磁石”は地球が生んだフェライト磁石
 岩石からなる地球のマントル層も、高温高圧のために粘り気の高い流動性物質となっていて、ゆっくりと対流している。マントル上部は圧力や温度などの変化により部分的に溶融する。これをマグマといい、火山噴火にともなって地表に出てくると溶岩と呼ばれる。地表に噴出せず、地下に“マグマ溜まり”としてとどまることもある。このマグマ溜まりがゆっくりと冷えていくとき、複雑な化学変化により、磁鉄鉱、クロム鉱、ニッケル鉱といったさまざまな有用金属の鉱床ができる。マグマが周囲の岩盤などに侵入し、そこで化学反応を起こして生成する鉱床もある。国土の狭い日本に多種多様な鉱物が産出するのも火山列島だからだ。
 磁鉄鉱(マグネタイト)は赤鉄鉱(ヘマタイト)とともに鉄の酸化鉱物である。赤鉄鉱は見かけは銀灰色の金属光沢をしているが、粉末は赤色で顔料(ベンガラ)などに用いられる。磁鉄鉱は磁石に吸いつくものの、自ら鉄を吸いつけるほどの磁力は帯びない。昔から“天然磁石”として産出してきたのは、厳密には磁鉄鉱が酸化・変質した磁赤鉄鉱(ガンマ・ヘマタイト)という鉱石だ。磁気テープに塗布される磁性粉は、針状結晶に合成したガンマ・へマタイトの粉末である。
 天然磁石はスピネル型と呼ばれる結晶構造をもつ。加藤与五郎博士と武井武博士が発明した世界初のフェライト磁石(O・Pマグネット)はスピネル型である。つまり天然磁石というのは地球が生んだ天然のフェライト磁石だったのだ。地球資源は地球自らが生み出したもの。地球の“モノづくり力”は実に偉大である。


自然エネルギー発電にも利用されるフェライトコア
 フェライトは酸化鉄と別の金属酸化物が抱き合うように入り組んだ結晶構造の物質である。2種の金属イオンの磁気的な綱引きにより、特異な磁性を示す。トランスコアなどに多用されるフェライトは、軟磁性のソフトフェライトと呼ばれるタイプだ。軟磁性の金属系コア(ケイ素鋼板など)を高周波領域で使用すると発熱ロスが大きくなってしまう。IHジャーはこの発熱を利用している。かたや磁性セラミックスであるフェライトは電気抵抗が大きいため、高周波領域でも損失が小さい。そこで、高周波化が進む電子機器に不可欠の材料となっているのだ。
 フェライトは大電流が流れる電力設備のコア材料としての利用も拡大している。TDKが新開発したリアクタ用コアは、従来の金属系コアとほぼ同等の体積でリアクタ損失を大幅に削減したフェライトコアだ。リアクタ(リアクトル)とは、発電施設など、強電分野で使われるコイルの別名である。
 たとえば、太陽光発電や風力発電といった自然エネルギーや燃料電池システムなどの利用が進めば、直流から交流へ変換するインバータ回路用リアクタには、さらなる高効率化が求められる。 そこでTDKでは先進のフェライト技術を投入して、高飽和磁束密度と低損失特性を両立させたPE90材を新開発。リアクタ損失の因子の一つである鉄損において、ケイ素鋼板と比較して約80%、金属系ですぐれた特性をもつセンダストと比較しても約30%ものリアクタ損失の削減を実現した。電力設備に使用されるインバータ回路用リアクタほか、太陽光発電、風力発電、燃料電池システムのパワーコンディショナ用としても最適。CO2削減にも大きく貢献する。クリーンエネルギー時代のパワーエレクトロニクスをサポートするのもTDKのフェライト技術である。

大電流高効率リアクタ用コア
定格電流が数10Aクラスのリアクタで使用される大型コア向けに、高飽和磁束密度と低損失特性のPE90材を新開発。金属系コアの中でも低損失特性を誇るセンダストと比べても、ほぼ同等の体積で約30%もの大幅なリアクタの鉄損削減を実現。構造設計の最適化により、線材損失もあわせてリアクタトータルでの高効率化・小型化を実現した。




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